子や孫の行く末を案ずるー『未来の年表』と『LIFE SHIFT』を読む

河合雅司『未来の年表』のインパクトは極めて強い。発刊からちょうど一年が経ち、大きな話題になった。既に続編も出ている。「人口減少日本でこれから起きること」のサブタイトルも示しているように、このまま手を拱いて放置していると、日本はこのように消滅への道を歩むと衝撃の書である。もう一冊のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコット『LIFE SHIFT (100年時代の人生戦略)』の方にも強烈な刺激を受けた。前者が少子高齢社会の社会全体としての対応を求めているのに比し、後者はどちらかといえば、個人としての取り組みを促しているものと読める。共に、時代の転換期にどうするんだと激しく問いかけを迫っている警世の書でもある■先に私は『LIFE SHIFT』を読んだ。偶々テレビで、著者のひとりL・グラットンを囲む青年たちとの語り合いの場面を見てしまったのである。番組名は忘れたが、今若手社会学者として注目されている古市憲寿氏が司会役をしていた。登場している連中の手に、その本があり、グラットン女史も好印象だったので直ぐに飛びついた。面白かった。「人生80年」と言われだしたのも束の間、もう「100年時代」だそうな。それを今年73歳の爺さんが読むというのだから、お笑い草かもしれない。で、私が読んで一番感動したのは、もはや「教育→仕事→引退」という人生の定番スリーステージ時代は終わり、新たなステージを迎えているという捉え方だ■これはお金偏重の人生を、根底から変えて、成長至上主義的な生き方の次に位置する新しい生き方を指す。それこそ、エクスプローラー、インディペンデンス・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーの三つの選択肢だというのである。英語だと分かりづらい。日本語で私なりに解釈するとそれぞれ、❶いわゆるフリーターをしながらも将来に向けて知見を蓄える生き方❷個人事業主あるいは起業家とも言える生き方❸いくつかの他業種を同時並行的に関わる生き方ーと言えようか。こうした生き方が求められるのが、これからの「人生100年」時代であり、そこには年齢などあまり関係ないというのだ。そういう時代をこれから生きる若い人たちは大変だなあと思いつつ、残された時間を充実させて生きるぞと自らに言い聞かせながら読んだのである■そこへ、気にしつつ放置してきた『未来の年表』を読む気になったのは、政治家としての責任から、という思いがやはりある。ここで展開される年表はまさに正視に耐えない。これまでの日本の遺産を食い尽くすだけであった「団塊の世代」とそのジュニア世代たちが年老いていくとどういう社会がそこに展開するか。これは少しだけの想像力があればわかろうというものだ。しかし、改めて突きつけられると辛い。先に述べた新しいステージでいえば、ポートフォリオワーカーを自ら実践していると呑気に構えてる(わけではないが)身として、恥ずかしい。要するに、我が子や孫たちがこれではどうなってしまう
のか、という切実な問題なのだ。河合さんは、この本で、「日本を救う10の処方箋」を次世代のためにいま取り組むこととしてあげている。これこそ現実に責任を持つ政治家や官僚が議論の対象にすべきことであろう。「戦略的に縮む」ことが第一に提起されているが、重要な問題提起だ。私がこれまで、繰り返し主張してきた、「富国強芸」の旗印というのも、ある意味で同じ趣旨といえなくもない。ともあれ、ここでの処方箋をひとつの素材にして各方面における議論を起こし、いっときも早い具体的な対応策が講じられねばならないといえよう。(2018-6-29)

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