44回目の提言ー池田大作『平和と軍縮の新しき世紀を』を読む

毎年1月26日のSGI(創価学会インターナショナル)の日に、SGI会長の池田大作先生が寄せられる記念提言は、今年で44回目のものとなる。今回のタイトルは、「平和と軍縮の新しき世紀を」。長く公明党の外交安全保障政策分野を担ってきた私は、先生のこれまでの提言に強い関心を持ってきた。日本の対応には問題なしとしないものの、核軍縮を巡る状況には微妙ながらも変化の兆しが見える。ここでは今回の提言について、❶変わらぬ現状の背景❷前進が見られる側面❸先生の具体的提言という3つの観点から私なりの整理を試みたい▼まず、核軍縮を巡る大状況がなぜ変わらないか。核抑止論とあきらめの蔓延ーこの二つが挙げられる。米国保有の核の傘のもとに日本が存在することで、これまで70有余年、曲がりなりにも「戦争のない平和」がもたらされてきた。核廃絶は不断に求める命題であるが、結局は見果てぬ夢だーこれが私を含む一般的な見方である。これに対し、池田先生は著名な物理学者で哲学者のK・F・ヴァイツゼッカー博士の考察を引用し、問題の根源を抉りだしている。その考察とは、冷戦時代から今に続く「平和不在」の病理の克服が重要だというものである。私風に言うと、「みんな自分は重い病気に罹ってると自覚しろ」との主張だ。先生はこの病気が治らなかったら、「次代を担う青年たちが健全で豊かな人間性を育む環境は損なわれてしまう」と強調している▼二つ目の観点は、それでも「希望の曙光」はある、核軍縮は僅かながらも前進しているということである。池田先生は、「不可能と言われ続けてきた核兵器禁止条約も2年前に採択が実現し、発効に向けて各国の批准が進んでいる」とする一方、「対人地雷、クラスター爆弾、そして核兵器と、非人道的な兵器を禁止する条約が一つまた一つと制定されてきている」と具体的な実例を挙げている。「国際政治や安全保障に基づく議論だけでなく、人道的な観点からの問題提起が行なわれるように」なったことは、これまでSGIの諸活動を背景に、営々として築かれてきた先生の大いなる行動と言論の結果に違いない。さらに、具体的な前進面として、難民支援での特筆すべき動きやプラスチックごみの削減を目指す運動にも触れている▼三つ目の観点は、❶「平和な社会のビジョン」の共有❷「人間中心の多国間主義」の推進❸「青年による関与」の主流化という3点を、「21世紀の世界の基軸に軍縮を据えるための足場」として挙げていることだ。この中で私が特に感銘を受けたのは、釈迦の説いた「他者の苦しみを自分とは無縁のものと思い、嫌悪の念すら抱く人間心理」に対して、池田先生が「奢りから生じる無関心や無慈悲が、人々の苦しみをより深刻にしてしまう」と喝破されているくだりである。我が身に引き当てて反省と共に強い共感を抱く。加えて❶有志国による「核兵器禁止条約フレンズ」の結成❷国連の第4回軍縮特別総会の2021年の開催❸AI兵器と呼ばれる「自律型致死兵器システム(LAWS)」を禁止する条約の交渉会議の早期立ち上げ❹国連での「水資源担当の特別代表」の任❺SDGs推進に向けての世界の大学の協力推進ーなどを提案した。岩盤にハンマーを撃ち下ろし、割れ目に手を差し入れるがごとき、事細かな提案にただただ胸震える思いが募る。半世紀に及ぶ不屈の闘いに応えねば。(2019-2-2)

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