最新ロボット考ー科学の進歩で未来の文化はどうなるか

淡路島                     awajisima2

毎夏恒例の「アジア太平洋フォーラム・淡路会議」の18回目の会合が8月4日に淡路市のウエスティンホテルで開かれました。これに3年連続で私も参加。一昨年は福田康夫元総理の対中関係についての講演、去年は林芳正衆議院議員(現文科相)のTPPに関する話などに触発されてきました。今年は政治家抜き。「テクノロジー、カルチュア-、フューチュアー」というテーマで、未来社会への展望をめぐってそれぞれの道の第一人者が登場しました。参加した感想は、「ウーン、刺激的だったなあ」の一言です▼この日の圧巻は、自分と同じに見えるアンドロイド(人造人間)を製作し、今”二人して活躍中”のロボット工学者の石黒浩大阪大学教授のお話でした。エピソードめいたものだけに絞って紹介すると、ご本人よりもアンドロイド君だけの講演出席の方が何かと都合がいいとのこと。それは交通費がかなり安く上がるということーなぜなら本人が行くと、飛行機ならビジネスクラスだが、アンドロイド君ならエコノミー席で済むからといいます。秘書氏が身体を分解してバックに詰め込んだものを持ち運び、現地で組み立てるから、と。聴衆の皆さんもアンドロイド君の方を面白がるので、人気は遠隔操作する本人よりもぐっと高いと語る口調は、自嘲気味に聞こえました。バッグにいれた頭首部分を荷物検査で明けた時の係員の驚いた姿は見ものだったとは、いささか趣味が悪いことかも▼また、ファミリーレストランでの話も面白かったです。家族4-5人が同じテーブルで食事する際に、最初から最後まで全員が会話をせずにスマホをいじって食事をするとのケースも多いといいます。このため、ロボットをファミレスに置くようにしたら、それをきっかけに家族が和んで、あれこれ会話が弾んだというのです。ロボットの現代社会での役割はこういう次元だけにはとどまりません。スマホやパソコンなどテクノロジーの最先端を行く電子機器もある種のロボットといえましょう。ITの指図通りに対応しなければ、にっちもサッチもいかない現代人は、もはや十分にロボットに支配されていると言えるかもしれないのです▼「初音ミク」ってだれか、と同窓会で訊くと全員知らなかったが、大学で教え子たちに訊くと、知らないものはゼロだったという阿部茂行同志社大教授の話も聴きごたえがありました。バーチャルな作曲家といえるこのロボットの存在を、実は私も全く知らなかった。最初は珍しい名前の人だなと思ったのですから、お恥ずかしいしだいで、自ら笑ってしまいました。この日、私は淡路島から神戸へ取って返し、友人の高柳和江さん(笑医塾塾長)と懇談しました。兵庫県各地で毎年展開している講座を、今年は尼崎で実施するための来神の機会をとらえてのものでした。早速この日の話題にロボットを持ち出してみました。笑医の代役を高柳さんのアンドロイドを作ってやらせてみたら、と。今すぐは無理でもその内、可能になるかもしれないということで意見は一致。さてさて科学の長足の進歩を前に、どう一個の人間としての存在感を示すか。考えることを置き去りにしていると、ロボットに笑われるかも、とは究極のブラックユーモアといえましょう。(2017・8・6)

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