「自公圧勝」報道に偽りあり、公明議席減の意味を探る

嵐の中での衆議院総選挙が終わって早くも三日が経つ。私が議員を辞めてからもうすぐ5年だが、支援して頂く側から、する側に回って3回目の選挙だった。選挙にあって候補者を当選させるための司令塔役はまことに大変だが、純粋に支援をお願いすることだけに絞ると実に楽しいことが多い。高校卒業から50余年になる私は、福岡と横浜に住む二人の同級生と初めて連絡が出来て、半世紀ぶりの出会いを近くすることになった。心弾む。また1年半前に顧問先が主催する工業デザインにまつわる会合で知り合った多摩美術大学の女子学生たちに電話をした。その結果、来月3日から始まる大学祭に行くことになった。これまた心弾むことだ。更に、不義理をしていた歯科医を演説会に誘い関係を戻したり、同じく足が遠ざかっていた鰻屋に実に久方ぶりに行き、美味くて安い鰻丼に舌鼓をうったりもした。そのきっかけは大阪の公明候補者の選挙事務所が鰻屋の二階にあったから(行きたくても高そうだったし、場所柄もあって行けなかった)というのも、我ながら笑ってしまう。食い物続きでいえば、支援依頼先の社長に紹介してもらった鮨屋では、偶々出くわしたお客を交えその店の大将や女将と政治談義が盛り上がったことも痛快だった▶楽しい語らいを織り込んでの激しい闘いの結果、選挙結果でも勝利すれば言うことなしなのだが、そうはいかない。今回の選挙では「自公圧勝」と報じられたように、確かに自民党は解散前と全く同じの284議席を獲得して、選挙戦当初の予想を覆す大勝利だった。しかし、現状維持を信じていた(少なくとも私は)公明党は35議席から6議席減(小選挙区1、比例区5)に終わったのである。「自公圧勝」報道に偽りありだ。比例区で落選したのはいずれも前回初当選組だった。前回勝ち取った尊い議席を失った意味をどう考えるか。これからの慎重な分析を待たねばならないが、敢えて私的な捉え方を述べれば、自公政権対希望・維新対立憲・共産という三極対立の中で、公明党の立ち位置が埋没してしまったということに尽きよう。希望の党が負けたということに世間の関心は集中しているが、それでも50議席を獲っている。「立憲民主」が3倍増になったことや、「希望」への当初の期待値が大きかったことなどからして、一方的に批判されがちだが、ここは安易な決めつけはよした方がいいと考える▶今回の民主党の3分裂騒ぎについて、ひたすら小池東京都知事の「排除」発言を始めとする責任論(ご本人が認めているものの)に目が行きがちだが、私はそうは思わない。確かに野党結集を殺いでしまった彼女の罪はあるが、その「分断」的行為は、日本の政治を分りやすいものにして余りある。ご本人の思いとは別に(本心ははかり知らぬが)日本政治史上の功績は大きいと言わねばならない。結果的に立憲民主党が得をした風に見えるが、旧民主党内の勝負はこれからだろう。参議院に残る民主党の行方を含め、これから第二陣の争いが始まる。注目したい。その際の視点は、日本に二大政党は育つかどうかに絞られる。旧社会党のような世界観において与党とは真逆のものを持つ政党が野党第一党に位置し続けることはご免蒙りたい。少なくとも安全保障分野での合意をベースにした政党同士の争いでないと、かつての55年体制下のように再び不毛の対立となってしまう。今回の小池氏主導のもとの希望の党の設立も、細野氏らの言動を聴いている限り、安保法制に反対するひとたちとは組めないということになる。そうした意味では立憲民主党がこれからかつての社会党のようにならないかどうかを見極める必要があろう▶自民党はかねて自社対立時代に身につけた知恵として幅広い政策選択をほしいままにしてきたことが指摘される。富裕層の側に立つ政党だとの批判を受けるなかで、少しづつ社会的弱者の視点も取り入れてきたのである。これは自公政権になって公明党に気を配る中でさらに一層定着してきた。選挙が終わった直後のテレビ朝日系の討論番組では、自民党はリベラル政党の側面が強いとの指摘が専らだったが、これなど公明党がじっくりと吟味する必要がある。かつて社会党から学んだ自民党は今や公明党から学んでいると言えなくもない。このあたりをしっかり受け止め、もっともっと宣揚する必要がある。尤も公明党は安全保障分野で自民党の安定かつ責任性を学んできているのだからお互い様ではあるが。この辺りはあまり注目されないというか、報じられることがない。公明党は東京都政や大阪府政での行動と国政での振る舞いが相違しているのが分かり辛いとされたり、「憲法改正」をめぐる主張が今いち曖昧だとされてきている。不本意なことだ。これこそ自公政権下における是々非々の対応で、注目されるべき極めて大事なスタンスなのだが、一般的に受け入れられるには苦労している。比例議席減もこの辺りと無縁とは言えないだろう。どう公明党の立場・主張を説明し、独自性をアピールするか、等身大の政党の在り様がこれから問われてこよう。(2017・10・25)

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