食べ飽きたおせちみたいー新年元旦号の各紙を比較する

新聞メディアの苦戦が伝えられているなかで、新年元旦号への各紙の取り組みぶりを私なりに評価してみたい。取り上げる基準はあくまで私が感動したかどうか、で極めて恣意的であることはあらかじめお断りしておく。まず、いきなり番外編から。神戸新聞の3日付けトップ記事は面白かった。「雄県」兵庫際立つ個性との見出しで、新五国風土記「ごのくにのかたち」が始まった。➀県民性が惹きつける。47都道府県を擬人化した漫画「うちのトコでは」(飛鳥新社)で設定される兵庫のキャラクターはなんと5つ。他の46都道府県が一つづつなのに、唯一の例外県なのである。摂津、播磨、丹波、但馬、淡路の5地域がひとまとめにしがたいということなのだ。そのうち、我が播磨は、「やや保守的で頑固、剛毅、姫路城がプライド」とある。確かに、と妙に納得する。尤も、摂津が「おしゃれで進取的で洗練されたナルシスト」とくると、いささか嫉妬の気分も起こってくるが。兵庫の各地域の振興に特段の関心を抱く私としてはこれからの連載が楽しみだ■元旦号に戻ろう。まず、ニュース記事で目を引いたのは読売のトップ「中露企業 北へ密輸網」。北朝鮮が石油精製品を公海上で積み替えて密輸している実態を中露朝の密輸ネットワークとしてすっぱ抜いた。契約文書を入手し、タンカー提供で決済の仲介ぶりを明らかにし、国際制裁の抜け穴ぶりを暴露してみせた。このあたりは、いかにもさもありなんと思われることを実証してみせ興味深い。これと並ぶ話題をピックアップしたのが毎日の「拉致解決 資金と交換」。先年韓国に亡命した北朝鮮の元駐英公使の単独インタビューで、金正恩委員長が巨額の資金援助を受けることができれば拉致解決に前向きになるというもの。まことにこの国らしい身勝手な論理だが、同問題の進展の糸口になるやもと、気を引かせる。2面では、「軍の統制が核頼み」であるとの証言も引き出している。産経は、2面で朝鮮半島有事シュミレーションを、元海将や元空将のシナリオ予測で描く。見出しは「米の北攻撃3月18日以降「武力行使 条件整っている」とこの新聞らしい扱いで分かりやすい■一方、こうしたものと全く違うものをトップに持ってきたのが朝日と日経。朝日は、去年からの連載「平成とは 第一部時代の転換」の3回目。➂幸福論とあり、「成功とは違う、ハッピーの道みつけた」の見出し。2面は平成のライフスタイルの変化を挙げ、「一人カラオケ」に迫る。なんだか内向きが過ぎるとの印象は否めない。ここはやはり北朝鮮ものだろう。一方、日経は「パンゲアの扉 つながる世界」と題する連載の一回目。パンゲアとはギリシャ語を起源とする「すべての陸地」の意味で、かつてはみな繋がっていたということだという。「デジタルの翼に解き放たれた、小さな国、小さな企業、小さな個人が境界を溶かす」「もう誰も後には戻れない」と、この新聞社らしくグローバリゼーションの行末を見据える■こう見て来ると、各紙各社の日頃のスタンスが窺えて、なんだかありきたりに思われる。それぞれ中のページには様々の工夫が凝らされてはいるものの、定番ぶりが気になる。朝日は社説の「来るべき民主主義」で「より長い時間軸の政治を」とうたい、末尾に「先を見据えよ。憲法は、そう語っているように思われる」と訴える。いかにもの結論で、食べ飽きたおせち料理みたいだ。その点、「初めから同質の国はない」との見出しでの毎日の社説「国民国家の揺らぎ」には新味があり読ませた。ただ、同じ3面の「公明、改憲『目指す』削除」と、連立合意で自民を押し返していたことを明らかにしている記事は踏み込みが足りない。せっかく気を引く記事なのに扱いも中途半端だ。一方、読売も産経も対談や鼎談で登場する人物がお決り過ぎる印象が濃い。何時もの同じ人物が登場するのでは面白くない。特集記事では日経の「明治150年 維新再び」で「新しい日本へ8つの提案」が注目される。他の各紙に比べてきちっ時代の節目に対応しようとしているところはわたし的には大いに交換が持てるが、さて中身はどうか。これは今後のお楽しみに。(2018・1・4)

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