国際政治の現実見据えた公明党の英断

公明党は今年結党50周年を迎えますが、新聞メディアはこれから様々な企画をするものと思われます。産経新聞は『かすむ航路ー公明党集団的自衛権の余波』と題して、この8月8日、9日、12日と三回にわたり連載を掲載しました。その二回目の(中)で、私が登場しましたので、その関連のくだりをまず転載します。

「個別的自衛権と集団的自衛権は紙一重。その意味で『個別的自衛権に匹的する』として憲法9条の範囲内に収めたことが大事で、肯定的に評価しています」

衆議院議員を6期務め、平成24年11月の衆院解散を機に議員を引退した、外交・安全保障に詳しい元公明党衆議院議員、赤松正雄は今回の集団的自衛権の行使容認をめぐる結末についてそう語り、理解を示した。

イラクへの自衛隊派遣など、安全保障をめぐる節目で党がどう決断してきたかを熟知する赤松は連日、地元の兵庫・姫路などで開かれる党員・支持者向けの説明会に奔走している。「9条で許される範囲内と範囲外を明確にしたのが自公協議の所産だと説明すれば、納得してもらえるはずだ」とも語る。

ただ、赤松のような引退議員は例外で、今回の党執行部の対応に批判的なOBは少なくない。その存在が執行部を苦しめた側面があるのは否めない。「国連平和維持活動(PKO)協力法などは、『捻挫』程度ですんだが、今回は公明党の歴史に傷が残るような『骨折』になりかねない。妥協しない方がよかった」と不満を漏らすのは、近畿地方のある引退議員。

確かに党員・支持者の間で反発があり、OB議員などの間でも批判する向きがあったことは事実だと思います。しかし、私が例外というのはいささかオーバーだと思います。「安全保障」のプロはじっと推移を見ていたはずで、私と同調する向きも多いはずです。批判する人たちはアマチュア(素人)なのです。自公の協議といっても、所詮自民に公明は抑え込まれるだろう、との先入観もあったと思います。

ところが、その結果は、ある意味で意外にも、安倍自民党は譲歩に譲歩を重ねて、「集団的自衛権」とは名ばかりで、従来は個別的自衛権とも目されかねない境界部分を取り込んだに過ぎない内容になっています。つまり、いわゆる歯止めがかけられたわけで、「集団的自衛権」の名のもとに想定されたような、自衛ならぬ、専ら「他衛」を目指すものとは違っています。ま、勝った負けたを同じ与党内で言うことは憚られれますが、公明党の担当者たちはよく頑張ったと思います。

ただ、これからが本番で、実際にこの閣議決定通りの法律ができ、しかも適切に運用されるかどうかを監視しないといけません。私が現役の頃、憲法の制約のために、あれもできない、これもできないという出来ない尽くしの中、公明党はカンボジアPKOからイラク・サマワの人道復興支援やインド洋上給油支援などを可能にしてきました。これをノーって見る人は、今回の決定も許されざるものとして見るのでしょう。しかし、変転極まりない国際政治の現実の中で、ギリギリの選択を余儀なくされるものを是とする側から見ると、必要なことと思われるのです。(2014・8・13)

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