伊藤博文から井戸敏三へ、兵庫県の150年

明治維新からの150年は、同時に兵庫県政の150年でもあります。7月12日にそれを記念し祝う式典が神戸国際会館で開かれました。初代知事は、のちに初代首相となった伊藤博文。この日の式典で最も私が感動したのは、五百旗頭真さん(兵庫県立大理事長)の「近代日本と兵庫の150年」と題する記念講演でした。時間の関係もあり、現実には昭和42年から今に至る50年に絞った兵庫の歩みでしたが、深い洞察に充ちた聞き応えのある中身でした。バブル経済崩壊、リーマンショックなど打ち続く経済低迷の中で、阪神淡路大震災、東日本大震災に襲われながらも懸命に頑張り抜いて、創造的復興から共生の舞台へと開き行く県政ー兵庫県人として誇りを持つに足りうるものでした■五百旗頭さんは、この50年を❶高度経済成長とそのひずみへの対応❷円高不況を超えて、生活文化重視のこころ豊かな兵庫、科学技術立県❸創造的復興へ全力投球、大震災後10年の復興❹災後の時代と行財政構造改革ー21世紀兵庫の創生を求めてーの4つに分けて、筋立てて鮮やかに解説。それによると、この50年の前半においては、日本全体の高度経済成長の中で、県内総生産も全国5位でしたが、後半は、大震災や、首都圏への生産集中の影響もあって、7位に後退しています。とくに印象に残ったのは「創造的復興」という言葉を県が掲げた背景には、一つは、将来構想を常に持ってきた県であること。二つには、強い意志のあるリーダーシップがあったことを強調されていたことです。「失われた20年」という呼称で悲観的に見られがちな時代状況にあってもしぶとく生き抜いてきた県政が浮かび上がってきました。彼の立場上、贔屓目の捉え方であることは割り引いても、賞賛に値するものだと感じ入った次第です■この講演の前に、佐渡裕(県立芸術文化センター芸術監督)指揮による管弦楽団の記念演奏がありました。ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲、デーレ(編曲:宮川彬良)の「すみれの花咲く頃」、J.シュトラウス1世の「ラデツキー行進曲」の3曲に参加者は酔いしれました。立ち込める弦楽器の響きの中からホルンが聴こえてくる様子は、あたかも鬱蒼と木々が生い茂る森の情景が浮かび上がらせました。宝塚歌劇団ゆかりのすみれの花咲く頃は、兵庫に生まれ育ったものにとって懐かしい思い出を髣髴とさせました。圧巻は胸高まる華やかな響きのラデツキー行進曲。佐渡さんの場内に向かっての指揮に、会場からの手拍子が一斉に鳴り響き見事な調和を見せました■式の前半を飾った映像「2030 君が輝くひようご」や「兵庫の未来を創る」での小中高の子供達の発表もなかなかのものでした。とくに、我が地元の兵庫県立姫路工業高校の「ホタルを通じた地域交流プロジェクト」(ホタルの飛び交う地域を目指して)には胸打たれました。学校内のビオトープにおけるホタルの養殖に取り組み、ホタルを媒介にした地域交流の場を設けているのです。船場川にホタルの幼虫を放流するので是非見てほしいと、地元の岩成城西連合自治会長から毎年のホタルシーズンたびに強調されてきていましたが、その本源が姫路工業高校の生徒たちにあったとは。「姫路城周辺地域にホタルを溢れさせたい」とは、郷愁に満ちた試みをする粋な高校生たちです。4時間近くの長丁場でしたが、充実したひとときを過ごせ、皆満足げに会場を後にしました。(2018-7-14)

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