衆院解散を最も早く予測したのは「読売」ではない

衆議院解散の空気が濃く漂っている。一昨日12日のテレビ朝日「報道ステーション」を観ていると、キャスターの古舘伊知郎氏が冒頭に喋った言葉が印象に残った。机の上にその日の全国紙6紙を並べたうえで、今日はこのように各紙とも、衆議院解散総選挙が近いと一斉に報じているが、元をただせば、昨日の読売新聞が、「消費増税先送りなら衆院解散」といった意味のスクープを書いたことが発端だ、と述べた(その日の読売新聞紙の下から前日付けのものを取りだしつつ)。首相に近い位置にある同紙が書いたものだから、勿論のこと各社とも追っかけた、と。朝日新聞系列の同局としては、口惜しそうな言いぶりだったが、解散記事を抜かれた側からすれば、当然だろう▼ただ、私のように一週間前の水曜日(5日)に関西テレビで放映された「アンカー」を観ている人間は受け止め方が違った。コメンテイターである青山繁晴氏が、その日の番組のなかで、明確に「11月解散12月総選挙」が間違いないとの予測を微に入り細にわたってやっていたのだ。おまけに彼は12日の夕刻にも、ダメ押しするごとく、勝ち誇ったように自分がすでに指摘した通りに、解散・総選挙が間近にあることを報じていたから、10時台のテレビが何を間の抜けたことを言っているのかという風にとらえたのである。この番組を毎週欠かさず観ていると、首相を含む政権中枢と密接な関係にあることが十分に読み取れる。勿論、彼はかなり辛辣に安倍政権を批判もしており、決して”首相の提灯もち”ではない。毎週、独特の読みを十二分に駆使したきわめて見ごたえがある番組なのだ▼ただ、以前にも書いたように、東京のメディア関係者には滅法評判が良くない。かつて共同通信記者時代の行状を持ち出して、およそ記者の風上にはおけない人間のように誰しもが言うのだ。私は百歩譲って、そういう噂や見方が事実に基づくものだとしても、もはや時効であって今の彼の仕事ぶりを見て判断すべきだと思う。彼の時折涙を交えての真摯な語りが、いかに芝居がかっているにせよ、全てそれを単なるパフォーマンスというのは言いすぎだろう。毎回必ずと言っていいほど、メディア批判を大胆に切り込むところが視聴者の共感を呼ぶのだが、同時にそれはメディア側には、彼への侮蔑を高めているのかもしれない▼しかし、今回の解散総選挙を予測する報道に限って見ても、勝劣は明々白々ではないか。もう報道機関もそろそろ彼の鋭い見方、仕事ぶりを認めてやってもいいのではないか、とさえ思う。これは彼が兵庫県出身であり、なかんずく中高時代を姫路で過ごしたという同郷意識がなせるものでもない。細かいところを挙げずとも、私などとは国家観も違うし、主義主張は異なる。現に彼が講演の場で公明党に批判のまなざしを憚らずに向けたので、後刻さしで誤解をとくよう努めたこともある。要するにこの国を真に憂う国士の一人だと思うだけに、メディアのバッシングが解せないのだ。(2014・11・14)

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