毎日を自分の一番若い日として丁寧に感謝して過ごそう

ことしも早や10日余りが過ぎました。「極楽の日は短い」っていいますから、あっという間に今日を迎えたという人は楽しい日々を過ごせたということでしょう。お正月の新聞各紙を毎年じっくりと眺め比べることを習慣にしてきた私は、いつもなら全紙をまとめ買いして読んできたものですが、今年はそれを止めて図書館で読むことにしました。まとめ読みですから、多少ずれは出てきますが、静かな環境で読むには最適ですし、お金もかからず最高です▼今年は戦後70年。朝日、読売の二紙が正面からこの課題に取り組み、朝日が「鏡の中の日本」と題する連載記事の第一部を開始しています。話題の『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティによる「失われた平等を求めて」というインタビュー記事(1日)もさることながら、私にはニーアル・ファーガソンの「西洋からの警鐘」(3日)に強い興味を惹かれました。アメリカで今若い世代の中国人が懸命に学問に励んでいる姿を礼賛している中身です。欧州もそうでしょうが、日本との差に強い衝撃を受けたのです。読売は二人の論者を登場させて戦後70年を概括させています。トップバッターは、H・キッシンジャーと御厨貴さんとの対論でしたが、久方ぶりに読むキッシンジャー氏の,「日本の役割熟慮の時」にあった⓵日米同盟継続⓶中国が存在感増す北東アジアへの接近⓷より国家主義的政策という選択肢が日本の前にあり、どれを選ぶかが問われているというものに興味をそそられました。御厨さんの「新しい時代が始まろうとしているが、なかなか踏み込めない日本」との指摘とともに、時代の転換期を実感させられました▼各紙とも正月には大型対談を企画します。大変に面白かったのは、読売の橋本五郎氏と渡辺和子さんの「本当の自由 自分との戦い」でした。人生後半を生きるにあたって、残された歳月はこうだから,その間に何をしようかといった「逆算はいけない」との橋本氏の考え方は、同世代でしかも個人的にも親しい人の弁だけに読ませました。それに対して渡辺さんの「時間を大切に、毎日を私の一番若い日として丁寧に感謝して過ごすこと」との一言がずっしりと響きました。この人は9歳の時に実父渡辺錠太郎(当時・教育総監)が目前で銃殺される(2・26事件)という経験をしているうえ、修道女として教育者としての見識に基づく幅広く深く優しい心遣いが感ぜられる注目のひとです。この対談でも随所で味のある見方や言葉を披露してくれていますが、「不機嫌は環境破壊」なる言葉にはしびれました。笑顔に裏打ちされた上機嫌こそ最高の環境なのだ、と▼日経は「働きかたNext」という連載で新年をスタートしましたが、産経や毎日同様にいつもの定番企画、つまり正月の晴れ姿よりも平服で新年を迎えたとの印象が濃かったです。とくに毎日の紙面はインパクトが弱かったのではないでしょうか。辛うじて、黒田日銀総裁の「日銀はデフレファイター 決意は浸透」とのインタビュー記事が光彩を放っていたように思います。ともあれ、新聞は世界の鑑であることには違いありません。ネット,映像の時代にも負けずに頑張ってほしいものです。(2015・1・11)

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