茶飲み友達の茶の講義に茶々を入れそうになる

幼稚園いらいの昔馴染の友人から、つい先日「お茶(煎茶)の淹れ方」についての講演および実技の会をやるから来てくれとの誘いがありました。ウーン、お茶ねぇ、最近ペットボトルばかりであまり急須を使って飲むこともないなぁ、ピンとこないよ、と思いつつ、そこは浮世の義理もあり、地元の公民館に出かけました。近くに住むご年配の婦人や壮年が20人ほど参加されていました。最初は友人の手前もあり、適当に”お茶を濁す”か、といった程度の気分でしたが、次第に講師の日本茶インストラクターの方とアドバイザー(私の友人はこっち)の話や手ほどきに魅入られていきました▼我が竹馬の友・豊田秀昌氏は会社勤めを終えて今は天下御免の年金生活者ですが、まことに見事というほかないほど色んなことに手を染めています。姫路の総社主催のイベントのコーディネイトから始まってベリーダンスのダンサーたちのお世話に至るまで、あれこれと人様の面倒を見るのです。勿論、自分の趣味としての合唱団や英語会話などのお稽古事についても単に参加するだけではなく、仕切り役を買って出ているのです。それに加えて煎茶の淹れ方のアドバイスとくるのですから、ほとほと感心します。自身が住んでいる地域の自治会のお手伝いはもう終えたと見えて、昨今は遠く離れた私の住む地域(彼にとっては生まれ故郷の地)まで進出してきているほどですから、その世話焼き具合には呆れるばかりです▼そんな彼がどういった話をするのか、正直いって、”へそが茶を沸かす”ということはないだろうけど、せいぜい”茶腹もいっとき”ぐらいのものでは、との気分だったのです。ところがどうして、どうして。お茶の歴史から始まってお茶の種類、お茶と健康など、誰しも知ってるようでいて、実はよくは分かっていないことどもを、楽しく、わかりやすく、解説してくれたのです。日本茶のルーツは、1191年に臨済宗の開祖・栄西が九州・博多の「富春園」に日本初の茶園を開いたのち、京都・栂尾の高山寺の明恵上人に種子を贈ったことが発端だと云います。さらに、茶は、大きく分けて1⃣不発酵茶(緑茶)2⃣半発酵茶(烏龍茶)3⃣発酵茶(紅茶)4⃣後発酵茶(中国黒茶など)の四つに分かれ、緑茶は日本式の蒸し製と中国式の釜炒り製とに分かれるとのこと。さらに、日本式のものは、煎茶から玉露に始まり、抹茶、番茶、ほうじ茶、玄米茶など9種類ほどに分かれるというのです。尤も、そうすると、この日の「煎茶の淹れ方」という言い方は、正しくは「緑茶の淹れ方」ではないのか、と聞きながら指摘したくなったのですが、”茶々を入れる”ようで悪いと思い、黙っていました▼緑茶が健康に良いと言われていながら、現代日本人は横着になってしまったようで、わざわざ茶の葉を購入し急須に入れ、それに適時お湯の温度を変えて注ぐなどということをやらなくなってしまいました。この日の講義で、あらためてカテキン類がたっぷりと含まれた緑茶を一日五杯ほど飲むといいなどと言われても、唸ってしまうばかりです。コーヒーは五杯飲むことはあっても、緑茶はせいぜい一杯くらいの私は、反省することしきりでした。玉露や煎茶のいわゆる出がらしの葉にポン酢をかけると美味しいなんてことも知らなかったのです。私たちを前に鮮やかな講義をしたあと、インストラクター顔負けの実演のアドバイスをしてくれた豊田氏の向学心、知識欲にひたすら感動しました。茶味たっぷりの彼の振る舞いに、茶飲み友達が茶番劇を観るような気分でいたことに恥ずかしい思いを抱いて会場を後にしました。(2015・6・29)

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