大津波から最後のひとりを救うシェルター

東北のあの大災害いらい私たち日本人の防災に対する考え方が大きく変わってきたように思われます。とくに東南海トラフ大地震による大被害が必至とされる地域においては真剣な対応がなされているようです。また、様々な防災グッズや防災に向けての仕組み作りを行っている企業も数多くあります。私は今、瀬戸内海への観光振興、とりわけインバウンドに力を注いでいますが、その仕事の関係で知り合った企業も熱心に取り組んでいます。ツネイシクラフト&ファシリティーズ株式会社(神原潤社長)です。広島県尾道市にある常石造船の系列企業です。ここがあの震災の直後から作ろうと決意し、既に実用化に漕ぎ着けているのが大津波から最後の避難を可能にするアルミ浮揚型津波シェルターです▼東北での様々な悲しい話題の中でもとりわけ胸を詰まらせたのは、すべての市民に避難を呼びかけた後、自分自身が逃げるいとまもなく押し流されてしまった宮城県南三陸町の女性職員のことです。もし、そういう時に避難を可能にする津波シェルターがあったら、尊い命を失うことはなかったのに、との強い思いから全社挙げて開発に取り組み、完成させたといいます。こういうものは既に三社ほどが実用化に成功し、国交省から認可を得てきていますが、造船会社のノウハウを活用して作ったのはこの社のものだけです。海に強い企業だけに、いかなる津波災害にも十分に耐えうる優れものを生産したといえましょう▼先日来、こういう津波災害に強い機能を持ったシェルターの必要性を訴えるプレゼンテーションを支援するべく動いています。なぜ、私がこういう手助けをするかというと、このシェルターを提供するべく黙々と営業にあたってる青年に好感を抱いたからです。彼はあの震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町出身。その思いには深いものがあるはずです。先々月は公明党の災害対策本部(石田祝稔本部長)の会合で、同社がプレゼンをするにあたってお手伝いをしました。そこには国交省や総務省などの関係省庁の役人も来て、質疑応答などをしました。ついで、先月末には高知市に足を運び、与党である自民党や公明党の関係者と面談し、意見交換をしたしだいです。また、先日は和歌山県御坊市にも行ってまいりました。静岡県にも働きかけています。こういった機会を通じて気づくことは、どの自治体もよく防災対応に取り組んでおられるのですが、なかなかこういったシェルターの導入までには至らないのです。全長8メートル余りで、幅、高さがそれぞれ2メートル強というアルミ合金製のものですから、1⃣強靱性2⃣防水性3⃣復原性、不沈性に優れていると言われても、1千2百万円ほどの費用がかかるとなると触手はなかなか動かないようです。まして1⃣1週間分の水・食料を完備2⃣シートベルト付き座席シート3⃣車いすでも乗れるバリアフリータイプだと言われても、臨場感がないのかも知れません▼のど元過ぎれば熱さ忘れるというわけではないのでしょうが、そこまでせずともなんとかなる、逃げられると思うのが人の常のようです。作った側としては、これで悲劇の再発を抑えられるのに、と心ははやるようですが、現実は厳しいものがあります。政党関係者は一様に、とことん防災に熱心な首長を探すしかないと言います。また、自治体以外にも民間介護施設で必要と考えるところがあるはずだから、根気よく当たれと言います。いつ来るかわからないが、遠からず必ずくる大地震による大津波との戦いは果てしなく続きます。彼らの説明に立ち会っていて、ひょっとすると、ついに一台も売れないのではないかとの不吉な予感に襲われることもあります。しかし、そんなものを払拭してこれからも側面から応援をしていこうと決意しています。(2015・7・4)

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