とことん学ぶシニア世代の麗しい姿に驚く

この週末、自治会の行事が急に延期になったことから夕刻まで時間が出来ました。そこへ、高校時代の後輩から関西学院の西宮・上ヶ原キャンパスで、同大学の専門職大学院経営戦略科の「創立10周年記念講演・シンポジウム」があるから来ませんかと、誘われました。ちょうどいい機会なので、関西でも有名な関学のIBA(Institute Business and Accounting)なるものの一端に触れてみようと、行ってみることにしました。後輩とは、安田義信さんといい、長田高卒で私より3年歳下。ことし66歳になるはず。山岳部出身の無類の好漢です。神戸市の兵庫区で、ある中小企業の副社長をしていた頃ー10年ほど前でしょうかー選挙支援の依頼に訪れ、知り合いました。60歳で定年退職をした後、しばらくして母校・関学のビジネススクール(経営戦略専攻)の門を叩き、今ではMBA(経営学修士)を取得して客員研究員となっています。シニア真っ盛りの年齢で、学問の世界にどっぷりと漬かりながら、いつも楽しそうに生き生きとしている姿に、正直私は驚くばかりです。その秘密を知りたいとの気持ちも手伝っての、突然の”関学行き”となったわけです▼この日の記念講演は、元大蔵省の役人,三重県総務部長などを経て、現在は関学の教授にしてニュースゼロのキャスターという村尾信尚さんによる「ニュースの現場から世界を見る」でした。人気者の喋りをたっぷり聴けるとあって会場の中央講堂はほぼいっぱい。私も関心のある楽しみのテーマでした。彼は今風の甘いマスクで爽やかな佇まい。ご自身の体験を交えながら、ニュース報道の舞台裏を興味深く披露してくれました。私的には、E・H・カーの『歴史とは何か』の解説、テレビ初出演当時の「インパクトある中身をコンパクトに話すことが大事」との桂文珍師匠のアドバイス、今は水墨画に魅了されている、といった本題以外の話が記憶に残りました。また、パネルディスカッション「関学IBAに期待するもの」も、首題とは別に、今村岳司西宮市長の自由奔放な関西弁の話しぶりに感心しました。終わって傍に立ち寄り、「なかなか面白い話でしたよ」と褒めつつ、「次に当選することが大事ですね」と”皮肉ともとれる激励”を私らしくしてしまいました▼第三部で「IBA10年の歩み」という、6人のMBAメンバーらによる研究フォーラムの発表がありました。そのラストバッターにわが安田さんが登場するとあって、結局は最後の最後まで付き合うことに。彼の所属フォーラムは「トップリーダー研究会」というもの。「インプットからアウトプットへ」を合言葉に、あるべき企業家像を様々な視点から追求している日常を報告し、注目を集めていました。併せて、紅一点の相島としみさんの「名著講読会」も興味津々の充実した中身の発表でした。この女性は上智大を出て慶応大学院へ。就職は日本経済新聞の記者に。やがてそれに飽き足らず、翻訳業の世界に転身。今は若い翻訳家を養成するという仕事をしながら、IBAで研さんを深める日々だといいます。登壇されたみなさんに、「どこまで学ぶつもりですか」と茶々を淹れたくなるほどの”学問マニアぶり”です▼この日の”私の学び”で気付いたことを少し。一つは、大学教授の側の対応は大丈夫かな、という点です。パネリストの一人として発言された元学長の平松一夫教授は、「理事としては言いづらいですが、個人として」と前置きをしながら、言いにくい事をあれこれと述べられていました。私の親しい友人(筑波大の古田博司教授)から大学教授会の実情はいつも聴いていますが、どこもおよそ旧態依然とした状況にあるようです。驚いたのは関学のIBAの校舎の一部を梅田に持っていくということに大学側が躊躇したということです。むしろ、文科省が乗り気だったという話にも。二つ目は、会社経営の実務に通暁している安田さんのような人材に対して、象牙の塔に籠ってばかりで経営理論にはめっぽう明るいけれど、世間の実情に疎い大学教授はうまく指導出来るのかなという事です。恐らく余計なお世話だと言われそうですが、両者のうまいコラボレーションが大切だという当たり前のことが無性に気になったしだいです。(2015・9・13)

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