医学を基礎とするまちづくりへの貢献を誓う

さる22日に奈良県橿原市で「MBTコンソーシアム研究会設立記念シンポジウム」が開かれ、私も参加してきました。これは一言でいえば、医学を基礎とするまちづくりをしようという奈良県立医科大、橿原市や関連企業有志によるシンポジウムです。これを仕掛けたパシフィックコンサルタンツからの要請を受けた私もあれこれと協力を致しました。辻哲夫東京大特任教授の記念講演や内閣府からの来賓派遣を依頼したりしたのです▼この研究会を立ち上げた中心人物は細井裕司奈良県立医科大学長(理事長)です。耳鼻科の研究で名だたる成果を上げている医学者ですが、同時に多彩な行動(2014年に内閣府の地域活性化モデルケースの採択を受けたり、2015年には橿原市との間で連携協定を締結、2021年には大学近接地域の再開発を目指すなど)で脚光を浴びています。医学関係者による知識の供与や示唆を活用して異業種による多様なアイデア創出を競おうという試みは大胆で、これからの高齢社会にとってきわめて魅力的です▼この日の会合で圧巻だったのは、この大学における教授たち69人が勢ぞろいしたことです。講演の中で学長が一人ひとりを名前で呼んで紹介するなど画期的なことでした。20世紀は工学を中心とした産業が支えてきたが、21世紀は医学を中心とした産業が社会や町づくりをけん引することになるとの予測を裏付けるかのような印象を強く受けたしだいです▼私が厚生労働副大臣を務めた時の事務次官で、日本の医療制度改革の中心者である辻哲夫さんは、かねがね医師の社会的活用こそ日本の近未来を決定するとの持論を展開しています。高度な知的能力を持つ医師たちが、繁忙極まりない日常の中に埋没したり、金の亡者に成り果てているような現実は、日本の損失以外なにものでもないというのです。世界で類例を見ない少子高齢化の道を邁進する日本の未来は暗澹たるものがあります。「医学の徒が今こそ日本各地で総立ちになることが21世紀の日本を救う」という辻さんの主張(医者が医療の世界だけにとどまらず社会的貢献をすること)は、まことに鬼気迫るものがあります。辻さんと私は今の立場は違えども、お互いに全魂込めて医学の持つ力を引き出す役割を果たそうと誓い合い、硬い握手を交わしました。(2016・1・24)

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