逝きて3年余。中嶋嶺雄門下生が選集8巻を出版

中国問題の泰斗であり、大学改革の旗頭であった故中嶋嶺雄先生(元東京外国語大学長、元国際教養大学学長)が逝かれて3年余。お弟子さんたちがこのほど、力を合わせて先生の著作選集を完成され、全8巻が出版されました。その出版を記念する会がさる11月26日に東京四谷のホテルで開かれましたので、私も参加しました。若き日の同先生が慶応大学へ非常勤の講師として出向されていた時に、教えて頂いた者にとっても感慨深い集いでした▼出版元は桜美林大学北東アジア総合研究所。佐藤東洋士同大学長はじめ川西重忠北東アジア研究所長ら出版元関係者や、中嶋ゼミのOBたち、さらにはドストエフスキー研究で有名な亀山郁夫名古屋外国語大学学長、ロシア問題の権威の袴田茂樹氏など多彩な人々が集まってこられていました。記念の集会では、選集出版の編集に携わられた面々の苦労談やら、先生の思い出を語るシンポジウムで幕開け。責任者だった国際教養大の勝又美智雄名誉教授や拓殖大学の名越健郎教授、そして先生の次男で早稲田大の中嶋聖雄准教授らが次つぎとマイクを握り、秘話を披露してくれたのには十分満足できました▼中嶋先生の書かれたものはほぼ全て読んできたと自負している私だけど、そこはやはり直接のお弟子さんたちにはとてもかないません。「知的バイタリティーの凄さ」(曽根康雄氏)「透徹した人間観察に基づくリアリスト」(渡邊啓貴氏)「凄い筆力に圧倒されるばかり」(濱本良一氏)「偉大な国際教養人」(中嶋聖雄氏)といった、中嶋先生を賞賛される言葉もいたってすんなりと耳と心に飛び込んできました▼懇談の場では、先生ゆかりの方々がそれこそ滅多に聞けない話を紹介してくれ、大いに盛り上がりました。たとえば、先生の自動車の運転は非常に危なっかしいものだったとか、得意のヴァイオリンは音程が結構狂うことがあったとか、しばし場内に笑いの渦が起こりました。尤もそれは中嶋先生のヴァイオリンの師であった「鈴木メソッド」の後継者である豊田耕児さん(国際スズキ協会会長)のお話だっただけに、先生のお人柄を彷彿とさせこそすれ決して変な暴露談では全くありません。最後に登壇された奥様の洋子さんが「まるで私は怪物と一緒に暮らしていたみたい」と述べられたのには、大いなるユーモアを感じました。集合写真の撮影時に、先生のご長男黎雄さん(大阪大学准教授)が遠慮されて後方に立っておられたので、空席のままだった私のお隣の椅子にお誘いした次第です。(2016・12・7)

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