【44】政治家生活10年の節目に記念の集いー平成15年(2003年)❷

●逆風の中、統一地方選挙(兵庫)で完勝

この年の4月は統一地方選挙がありました。与党になって初めての選挙でした。サラリーマン本人の医療費の窓口負担が2割から3割へと引き上げられたり、イラク戦争の反対キャンペーンがあるなど、かなりの向い風の中の選挙戦でした。厚生労働大臣が公明党の坂口力さんであったことや、平和の党のイメージが揺さぶられる状況の中だったことなど、厳しい戦いを余儀なくされました。私は、現実政治のリアリズムから目を逸らさず、同時に未来に向けての夢を語りつつ懸命の闘いを展開しました。とりわけ、少子高齢化時代における子育て支援策について述べる際に、男女共同参画社会の早期実現を訴えました。結果的に兵庫県は完勝でき、ホッとしたものです。

ただ、姫路市長選挙は、現職の堀川和洋氏(元海部首相補佐官)に、新人の石見利勝氏(前立命館大学教授)がぶつかる選挙で、公明党など既成政党は現職の堀川氏を応援しました。新人の石見氏は政党の支援を受けないというやり方を貫き、幅広い市民の支持を掴むことに成功したのです。これはまさに予想外のことで、いかに政党という存在が市民から信頼されていないかが骨身に染みました。同時に相乗りの怖さというべきものも思い知ったしだいです。様々な意味でこの市長選挙の教訓は大きく、首長選挙の難しさをつくづく感じました。といいますのも、政党、団体が支持や推薦をしたところで、現場では個々人の好悪の感情が首長の場合は大きく働くため、一筋縄ではいかないのです。

●イラク特措法と自衛隊派遣で毎日新聞に論考

イラク特措法を巡って毎日新聞が自民、民主、公明の三党に論考を求め、石破茂、枝野幸男氏と並んで、私が登場しました。6月30日付け、見出しは、「審議通じ懸念晴らす」。まず、冒頭に小泉首相がアメリカの軍事介入に支持表明をしたことについて、公明党が理解する態度を明らかにしたのは、「国際政治のリアリズムと国益優先」がキーワードだとして挙げています。イラクの大量破壊兵器が未だに発見されていないとはいえ、フセイン政権がかつて保有し、国内での虐殺に使用していたことは疑い得ません、と断定。イラクのクゥエート侵攻から湾岸戦争が始まり、今日までの13年間国際社会を裏切り続けてきたフセイン政権に断罪することは、やむを得ないとして、法案成立に賛成を表明したうえで、国会審議を通じて、この法案が持つ懸念を晴らす、としているのです。

具体的には、武力行使と一体化と見られる任務や国際標準に合わない武器の使い方などに疑念があるとすると共に、戦闘地域と非戦闘地域の区分けの困難さや今後治安が一層悪化した際にはどう対応するかなどの徹底検証が必要だとしています。「非軍事分野での国際貢献活動を自己完結組織の自衛隊が行うことは当然」との解釈を改めて確立する必要がある、との主張が中核の内容でした。

果たして疑念を晴らせたかどうか。今振り返って内心忸怩たるものがあることは否定できません。この辺については後々まで尾を引くことになります。詳しくは後ほどに記すことになります。

●議員生活10年の記念の集い開く

衆議院議員にとって10年は大きな節目であり、乗り越えるべき重要なハードルでした。衆議院本会議場の議員席が隣同士だった太田昭宏さんと、常々激励しあったものです。彼と私は年齢が同じで、議員になる前の職場も一緒、選挙に共に出て一敗地にまみれたのも同じだったこともあって、気が合いました。10年間は落選せずに頑張ろう、を合言葉に頑張ったのです。彼は小選挙区に回り、比例区の私とは圧倒的に厳しい立場になってしまいましたが‥‥。

そういう背景もあって、10周年を記念して(当選したのは平成5年7月18日)、7月11日にパーティーを開催することにしました。その集いを名付けて「10年ひと未来」とし、同名の小冊子を作りました。その巻頭に、以下のように記しています。抜粋してみます。

「無我夢中で走り闘った10年の軌跡を、日々の新聞(掲載記事)から拾ってみることにしました。驚くほどの分量になりました。単に10年ひとむかしの過去を懐かしむのではなく、そこから新たな10年への展望を切り開く思いで抽出し、ここにまとめました。ざっと目を通していただくとお分かり頂けますように、外交・防衛、憲法と一言で言えば安全保障についての主張や発言に関するものが殆どです。  私の好きな言葉の一つに、「10年一剣を磨く」というものがありますが、振り返れば私もそれに近い10年であったと言えましょう。これから次の10年にどう立ち向かうか。長いようで短い10年ー私はこれをあえて〝10年ひと未来〟と表現し、日本が明治維新、昭和の大戦に続く第三の開国期にふさわしい国家の装いを作っていく時期ととらえたいと思っています。政治も経済のありようも憲法もすべて選び直し、新たな国づくりに向かってひたすら前へ、未来へと突き進んで行きたいーこれが私の率直な思いであります」

いやはや、随分と気合のこもったというか、肩肘張った大袈裟な言いぶりです。いかに、10年が重要なハードルであったか、今更ながら赤面する思いです。今振り返りつつ、こうした回顧録を書くにあたって重要な資料になっているのは、たとえようもなくありがたいことです。(2020-5-20 公開 つづく)

 

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