【77】B型肝炎救済などで積極果敢に動くー平成21年(2009年)❶

●「国家戦略」をめぐる私の発言

2000年代最後の年の本格的幕開けは、バラク・オバマ米大統領の就任式(1-20)と共に始まりました。米史上初の黒人大統領の誕生とあって全世界の注目するところとなりましたが、私も深夜のテレビ映像を通じての就任式の一部始終に深い感動を覚えました。とりわけ、連邦議会議事堂前からワシントン広場一帯を埋め尽くした聴衆。寒空の中にこだまするオバマコール。その前での独唱、四重奏、宣誓、演説と続いた式典はまことに見応えがありました。

彼の演説の巧みさは、04年の民主党大会での基調演説「大いなる希望」や、08年8月の指名受諾演説「アメリカの約束」、同11月の勝利演説「アメリカに変化が訪れた」などで裏付けられてきました。ただ、就任式の演説は約20分間に及ぶ聴かせる演説でしたが、期待していた劇的なフレーズはなかったように思われました。

一方、この年早々に発刊された『検証 国家戦略なき日本』(読売新聞政治部)は、様々な角度から注目されました。時あたかも、前年の参院選での自民党の大敗、野党の多数議席獲得からのねじれ現象で、政治の中枢で物事が何も決められない状態が起きていたのです。そこへ起きたリーマンショック。迎え撃つ本場・アメリカでのオバマ旋風に比して、麻生自公政権はいかにも非力に見えました。読売新聞が、同紙上で連載し、警鐘を乱打していたものですが、この本の中に私のブログでの発言が引用(336-337頁)されていました。

【赤松正雄衆議院議員は自らのブログでこう記した。「読売新聞政治部が先に出版した『検証 国家戦略なき日本』は、政治を動かした貴重な仕事だと言える。科学技術、海洋政策、エネルギー、安全・安心、知的基盤の五つの分野でいかに日本が立ち遅れているかについて、克明に追い掛け、政治の対応を迫ったものである。2年前に読売紙上で連載が始まった頃に話題になった。(中略)  このほど、海洋基本法案が衆議院を通過したが、これも読売の連載に刺激を受けた与党有志議員による議員立法の色彩が濃い。かくのごとく政治の現場に影響を与えた新聞連載も珍しい気がする。」(2007年4月24日 赤松正雄衆議院議員のブログより)】

この後、執筆者は、「記者冥利に尽きる話だ」としながらも、「どうしてこうも気が晴れないのだろう」と危惧の念を表しています。〝引きこもり病〟ともいうべき姿を見せている日本を憂えているのです。記者たちの懸念は的中し、10年を超えた今もなお冴えない状態が続いていると見られるのは残念というほかありません。

●肝炎救済などで必死に動く

「かつて国が注射器の使い回しの禁止を徹底していれば、こんなにも蔓延することはありませんでした。注射器の使い捨てや徹底した消毒など、経費を惜しまずにきちんと予防していたら、今こんなに医療費がかかることもなかったのです」ー2月18日に公明党の肝炎プロジェクトチームの座長である私のところに来られたB型肝炎訴訟原告団の方たちの声です。一緒に来られた肝臓友の会や、C型肝炎訴訟原告団の方々と共に、肝炎患者支援法(仮称)の早期成立を要望されました。

B型肝臓ウイルスの感染によって起こるB型肝炎は、感染経路としては母子感染のほか、注射器の使い回しや輸血が原因とされています。昭和の終わりころまでは予防接種で感染が起こったとされています。既に予防接種に関し国の責任が問われたB型肝炎訴訟では、国の過失が最高裁判決で認められ賠償が命じられています。

3月4日に開かれた公明党肝炎対策PTでは、肝炎インターフェロン治療の医療費助成制度について議論しましたが、終了後に、申請者数が伸び悩んでいる現状について、業界紙の「メディファクス」の記者から訊かれました。私は「肝炎という病気がまだまだ正しく知られていないからではないか」と述べて、治療費の助成制度に加えて、普及啓発の必要性を強調しました(2009-3-4号)。さらに、3月11日に開かれた同PTでは、治療費の自己負担限度額が1万円となる対象者の拡大が話題になりました。ここでも取材を受け、「(自己負担限度額)3万円を払っている人のうち、もう少し(枠を広げて)1万円にしてもいいのでは」と述べています(3-12号)。現行制度では自己負担限度額が3万円となる対象者のうち、一定水準の低所得者は1万円に下げる必要性を指摘していました。

このように、B型肝炎の患者さんたちとの交流を国会や地元で広げて、積極的に支援の活動を展開していました。

●総務委員長の仕事で東奔西走

他方、総務委員長として各種の会合で挨拶をする機会が滅法増えました。全国の町村議会や首長の集まる場で、生活支援のための定額給付金について説明したり、新たに設けられる地方財政健全化法の趣旨や、第二次地方分権改革についての国の取り組み姿勢などを述べ、町や村の行財政基盤の拡充に尽力することを強調しました。(2-16 「町村週報」)また、3月19日の放送記念日式典では、NHKのありようについて基本的な考え方を挨拶で述べています。(3-19「日本放送協会報号外」)かつて、NHK予算の審議に際して、選挙速報の在り方を巡って厳しい追及をしたことも過去にある私ですが、さすがにこの場面は形式的なご挨拶に留めました。

一方、3月8日の日曜日には、地元赤穂市内での国会報告会や挨拶回りの合間に、赤穂「かんぽの宿」を視察しました。総務委員会ではこの頃、しばしば「かんぽの宿」にまつわる問題が取り上げられました。日本郵政がオリックスに対して、かんぽの宿の一括譲渡を決断した経緯など、幾つかの疑問点も指摘されています。これまでの国会審議を委員長席で聞いていると、西川善文日本郵政社長は防戦一方。次々とボロを出し、答弁の修正やら変更だけでなく、要求された資料について平気で誤ったものを出す有様でした。

また、3月初めの国会で開かれた「異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」主催の会合は極めて興味深いものでした。実は私はこの問題に強い関心を持っていて、前年の衆議院予算委員会(2007-2-13)一般質疑の場で、泉信也国家公安委員長や舛添要一厚生労働相に、解剖を進める体制作りを求めていたのです。これは、医師で作家の海堂尊さんが『死因不明社会』という本の中で、CTスキャンを使っての画像診断を解剖の前段階で導入すべしと主張していたことに影響を受けていました。

海堂さんといえば、『チーム・バチスタの栄光』で一世風靡した人ですが、私はこの本を読書録『忙中本あり』で紹介しました。ご本人が神戸での講演に来られた際にお会いすると、先方から「私のあの本を真っ先に書評で取り上げていただいた上、厚生労働省内でも宣伝していただいて恐縮です」と礼を言われました。律儀な人だと驚きました。(2020-8-2公開 つづく)

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