【96】〝有能な市長〟の「パワハラ」は許せるか━2023明石市長選を前に(中)/3-12

 4年前の明石市長選挙の少し前のこと。泉市長が市の職員に対し、道路拡張に伴う立ち退きに応じない家に火をつけて捕まってこいなどと、暴言を浴びせた。この事実が録音の音声と共に、全国にあまねく報じられ、市長の職を辞するに至った。ひとたびは辞職したものの、市民からの熱い要望を受けて、出直し選挙に出馬して、対抗馬に圧勝し、返り咲いた。当時、私はこの欄で「おかしなおかしな明石市長選挙」と題して、その背景を点描したものである。ひとたびは、反省して、暴言癖を治すべく医療機関のお世話になったことをご本人自らが明らかにした◆しかしその後も、自身に気に入らないことが起こるとたちまち激怒して平常心を失うことは続く。自己自身を統御出来ない危険な傾向はつきまとった。専決処分による事業断行などを巡って市議会との対立が深まり、「市長問責決議案」が提出されようとしていた昨年10月8日のこと。ある小学校の創立150周年の式典の際に「問責なんか出しやがって、ふざけとるんか。お前ら議員なんか(選挙で)落としたるからな」「お前、賛成するなら許さんからな」と恫喝まがいのセリフを市議会議長や女性議員に対して吐いた。世の顰蹙を買うに至るや、発言の責任をとって、次回の市長選挙始めすべての選挙に出ず、政界を引退すると表明した◆それから半年ほどが経った現在は、しかるべき時にしかるべきものを(後継市長候補として)出すと、ツイッターで表明する一方、自分が代表を務める「明石市民の会」の選挙支援に汗を流している。しかし、同市長が自らの発言通りに政界を引退をすると、額面通りに受け止めている市民は少ない。告示日までにまたも復帰宣言をするに違いないと見る向きが専らだという。その背景には、広範囲な市民の間に、子育てをしやすく、住みやすい町だとの評価が高く、「泉市長は辞めないで欲しい」との支持の声が高いことが挙げられる◆だが、泉市長にはパワハラ癖に加えて、虚言癖もある。少し前にもある民間テレビ放送番組で、市長が前回選挙で、どの党にも応援を受けたことがないと発言したインタビューが公開された。その一方で、某保守系議員が泉支援の挨拶をしていた場面が同時に放映された。誰が見ても明らかな事実を平気で否定するのだ。仮にまた前言を翻して市長選挙に出る事態が起きたらどうなるのか。引退宣言をした際に、「(今後暴言はしないとは)私自身も正直自信がない」と述べたように、元の木阿弥になることは必至といえよう。「子育てしやすい町」を作ってきた〝有能な市長〟だから、少々の不都合には目をつぶるという市民の態度がまたしても問われるのかもしれない。(2023-3-12  つづく)

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