【48】油断は禁物、小事が大事ー小説『新・人間革命』第12巻「新緑」の章から考える/1-2

●真剣ということ
 
 どの言葉も、最も的確に、相手の心をとらえていた。魂の琴線をかき鳴らし、歓喜の調べ、勇気の調べを奏でた。ー山本伸一は1967年(昭和42年)5月13日にハワイに誕生した寺院の入仏式に出席した後、ハワイ会館で待ち受けていた会員一人ひとりに激励に次ぐ激励を展開していきますが、その際の情景がこう語られています。そして、それをつぶさにそばで見ていた日系アメリカ人幹部が、のちに「どうすれば、ああいう言葉をかけることができるのでしょうか」と伸一に問いかけます。(22-24頁)
 それ対する答えは「私は真剣なんです!」。さらに、「特別な秘訣や技巧などはない。真剣ーこの二字のなかには、すべてが含まれる。真剣であれば、勇気も出る。力も湧く。知恵も回る」と続きます。実は、この日系アメリカ人幹部の問いは、そのまま私自身が初めて池田先生に会い、その場に居合わせた仲間たちへの様々な激励に接した時(昭和43年4月26日)に抱いた思いと同じでした。いったいどうしてこのように、それぞれの人間にピッタリの言葉が泉のように湧き出でてくるのだろうと、不思議でならなかったのです。
 ふざけや、油断、怠惰など一切寄せつけない「真剣さ」こそがその源泉であることを、ここの記述から知って、改めて慄然とする思いです。あの日に眼前で展開された、凄まじいまでの一人ひとりへの懇切丁寧な言葉の連射は、半世紀を超えて今になお鮮明です。様々な局面で、ややもすれば、安易な姿勢に陥りがちな自分は、痛烈に反省するしかありません。

 ●「小事が大事」という原理

 この章における伸一の海外各国の訪問先は、アメリカ(ハワイ、ロサンゼルス、ニューヨーク)から、フランス、イタリア、スイス、オランダと移っていきます。各地における会員との「心の結合」がつぶさに描かれており胸を撃たずにはおきません。フランスでは交通事故を起こした川崎鋭治への、こと細やかな激励が展開されています。(48-62頁)

 半年間にも及ぶ入院治療が必要になった大事故を起こした彼の事故の顛末は、我々の日常に起こりうることで、まさに身につまされます。疲れが溜まっていたにも関わらず、長時間の運転をしたのです。その背後には、「信心をしているから」「題目をあげているから」大丈夫だとの思いがあったと推察されます。それが大事故に繋がってしまったのですが、「小さなミスや小さな手抜きが、魔のつけ込む隙を与え、取り返しのつかない大事故を生むのだ。ゆえに小事が大事なのである」と記述されています。大聖人の「小事つもりて大事となる」(御書1595頁)との御金言をひいて。
 
 私も交通事故については大きな体験が二つほどあります。一つは、疲れているのに運転をして、ほんの一瞬目を瞑ってしまい道路左の橋の欄干に擦ってしまったことです。もし、右にハンドルを切っていたら、対向車と衝突してた可能性大でした。もう一つは、妻を助手席に乗せて運転していた際に、突然左前輪がパンクしたのです。スピードは殆ど出していず、一方通行三車線の真ん中を走っていたため、これも助かりました。
 実は、この日の前日、遠出をした帰りに高速道路を走って帰るのを止めて、一般道をゆっくり帰ったのです。もし、高速道を走っていたら、間違いなく、車は横転して、事故死も起こり得たと心底からゾッとしました。おかげさまでこのように私の場合は、不思議にも守られました。しかし、二度あることは三度あるとの例えもあります。以後ハンドルは極力握らないようにとの妻の厳命を受けたしだいです。

 ●子どもへの信心の継承

 スイスのチューリッヒ空港に出迎えた高山光次郎という青年と、その母サチについての体験談は、子どもと母親をめぐる信心の継承について、深く考えるきっかけになります。(86-91頁)

 「我が子の幸せを願い、信心をさせたいという母の一念は、必ず通じていくものだ。それには、絶対に願いを成就させるのだと決めて、弛まず、決してあきらめずに、真剣に唱題し抜いていくことである」とあります。また、「子どもは、日々、親の姿、生き方を見て、信仰への理解と共感を深めていく」とも。
 
 こうした指導はしばしば聞き、目にするのですが、現実はなかなか簡単にはいかないものだともいえます。私も長い間の信仰生活の中で、様々のケースを見てきましたが、見事に親子の継承がうまくいってる場合と、そうでないケースがあります。それを分つものは何か、と考えた時に、やはり、「一念の深さ」だと思います。心のどこかに、子どもには子どもの人生がある、信心を強制してもうまくいかない、といった迷いがあるなら、やはり結果は出ないのです。「子どもに信心を継承していくことは仏法者としての責務であり、そこにこそ、真実の愛がある」との記述はズッシリと重く響いてきます。(2022-1-2)
 

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