【73】激変する世界の今を生き抜くー小説『新・人間革命』第18巻「飛躍」の章から考える/5-29

●「大悪起これば大善来る」の現代的意味

 前年からの第四次中東戦争、石油危機に始まる世界経済の激動の中で、1974年(昭和49年)は幕を開けました。新年の勤行会に集った会員を前に、伸一が「減劫御書」の次の一節を拝読するところから始まります。

 「大悪は大善の来るべき瑞相なり、一閻浮堤うちみだすならば閻浮堤内広令流布はよも疑い候はじ」(1476頁)    大聖人のご在世当時にも、大地震、疫病、蒙古襲来などと、今と同様に、いやもっと厳しい状況が日本を襲っていました。その中で「決して、悲観すべきはでない、むしろ、こういう時代こそ、仏法の広宣流布という大善が到来する」と宣言されているのです。(291頁)

   【伸一は、 激動する社会にあって、「大悪」を「大善」に転じ、広宣流布を実現していくには、〝如説修行〟すなわち、仏の教え通りに修行し、信心に励むことの大切さを訴えねばならないと思った。】とあります。ここを読むに際して、私は「個と全体の問題」があろうかと思います。個人としていかに真剣に祈り動いても、社会全体を動かす力に連動せねば、事は成就しません。一方、全体としてどんなにまとまっても、正しい仏法に基づいたものでないと、意味をなさないのです。

 ここでは、「広く文化活動、社会活動を推進し、『世間法』との関わりを、深く、密にしていくことになります」(294頁)と述べられていますが、私は今に当てはめると、政治選択の重要性を意味すると思います。大聖人のご在世当時の蒙古襲来に匹敵することがいつ何時起こるかもしれません。緊迫する国際情勢の中で、日本の舵取りを的確に進めていく政党はどこなのか、が問われる選挙が重要になってきます。「安定」を叫ぶ自民党と「改革」を重視する公明党の連立政権が〝よりまし〟選択をもたらすと確信します。〝大悪〟の到来を防ぐ、賢明な政治の現代的展開によって、〝大善〟がもたらせられると思います。

●憲法3原理の厳守と、時代の変化への「補強、調整」の必要性

 次に舞台は1月20日の第22回青年部総会に移っていきます。ここでは野村勇男子部長の「『社会の年』と青年部の使命」と題する話での、「平和憲法の擁護」が注目されます。そこには、伸一のかねての問題提起を受けての、青年部の総意が反映されていました。

 【もちろん、時代も、社会も大きく変化していく。それにともない、長い歳月の間には、条文の補強や調整が必要になることもあろう。しかし、日本国憲法の精神それ自体は、断じて守り抜かなければならないというのが伸一の信念であった。】(314頁)

  現在の公明党の憲法についての姿勢は、このくだりを明確に意識しています。かつて私は公明党憲法調査会の座長として、太田昭宏同会長らと共に、環境権など新しい条文を明記する「加憲」を推進していきました。それこそ「補強、調整」に当たります。基本的人権、国民主権、恒久平和主義の3原理を守ることは言うまでもないことです。その上に立って、変化する時代、社会に呼応する適切な行動であると、確信しています。

●香港の今を考える

 ついで伸一は1月26日に10年ぶりに香港に出発します。5泊6日で、香港広布13周年の意義をとどめる記念撮影会などの行事への参加、創価大学の創立者として、香港大学、香港中文大学への公式訪問などが予定されていました。この香港への旅はまた、「言論・出版問題」などの悪影響を被っていたマスコミの批判などへの正しい認識をもたらす目的もありました。内外の課題について、懸命に手を打っていく伸一と、それに呼応する現地会員たちの麗しい師弟の絆に、感動を禁じ得ません。(326-395頁)

  そんな中で、香港男子部長の梶山久雄が、香港の地で広布に生きるために自分の名前を中国名に変えたいとの相談を伸一にする場面が登場、心を打たれます。伸一は、香港の人になりきろうとする彼の心意気に深い感銘を受けつつ、「腰掛けのつもりでいたのでは、その地域の広宣流布を本当に担うことはできない。骨を埋める覚悟がなければ、力は出せないものだ」といいました。さらに、【己のいるその場所で、深く、深く根を張ることだ。信頼を勝ち取ることだ。そうすれば、断崖絶壁のような逆境にあろうとも、いつか必ず勝利の花を咲かせることができる。】(371-372頁)

 今香港の会員は「断崖絶壁のような逆境」にあるのではないかと、私は密かに推測しています。「一国二制度」から、北京中央政府が直接支配する非自由な社会になってしまったからです。この状況こそ、21世紀の世界広布の前途を占う正念場だといえます。一方、中国各地の大学に付設された池田大作思想研究所の存在もあり、一縷の希望も持っています。勝利の花を咲かせるべく戦う、会員たちの姿を思い浮かべながら、エールを送るしかありません。(2022-5-29)

 

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