【76】「生命の世紀」への戦いー小説『新・人間革命』第19巻「陽光」の章から考える/7-13

●海外で初めてとなったUCLAでの講演

 パナマ、ペルーから、メキシコを経て、伸一はロサンゼルスへ。1974年(昭和49年)3月28日のこと。翌日は、マリブ研修所で青年部代表や若手の通訳との懇談。「広宣流布に向けて英語の達人が何人いても足りなくなる」との発言が強く心に残ります。4月1日にはカリフォルニア・ロサンゼルス校(UCLA)で「21世紀への提言」と題する記念講演。海外の大学・学術機関での最初の講演として注目されました。

 この時の講演では、「小我」に支配されてきた文明から、無常の奥にある常住の実在、すなわち「大我」に立ち、宇宙生命と共に呼吸しながら生きる文明への転換が訴えられました。「21世紀は、人間が生命に眼を向ける『生命の世紀』にしなければ」ならないうえに、「知性的に人間であるだけでなく、エゴから脱却して、精神的、生命的にも自立し、跳躍を遂げねばならない」と強調されたのです。「欲望、煩悩に支配された現代文明の本質を、仏法という生命の視座から浮き彫りにし、人間のための文明を創造する根本哲理を明らかにした講演」でした。(220-221頁)

 ここで述べられた「大我」をトインビー博士は、宇宙の「究極の精神的実在」と表現しています。また、ある教授は「人間の未来開拓へ、根本的な道標を示した、重要な意義を持つもの」と称賛。またある学生は、「仏法は自分が生涯をかけて勉強するに値する〝人間の哲学〟だ」と感想を述べたと、触れられています。同大学のミラー副総長は前年の昭和48年に伸一が創価大学で行った「スコラ哲学と現代文明」と題する講演に深い共鳴をし、翌年のUCLA招待に繋がることになりました。その講演は、「中世の時代精神を形成したスコラ哲学に新たな光をあて、近代の出発点であるととらえた」もので、「新しい時代の開幕のために、新しい大学、新しい哲学の興隆が必要であることを訴えていた」のです。

 ここでの講演を後に聞いた私は、深い感銘を受け、21世紀を「生命の世紀」とする、己が使命に震えたつ思いを抱きました。30歳。ちょうどその頃、高校時代の友人が「中世スコラ哲学」を専門とする道に入ろうとしていたことを知り、密かに「共戦」を誓いました。それから約50年。彼は哲学者として大成しましたが、私の哲学探究は中途半端な状態。「生命の世紀」への道も難航を続け、人類の戦い未だ終わらずを実感せざるをえません。しかし、ここで挫けてはならず、さらなる戦いの持続に向かって、大いなる決意を固めるのみです。

●人間完成への7つの指標示す

  翌2日、サンタモニカのアメリカ本部で、恩師・戸田城聖先生の17回忌法要が執り行われました。海外で戸田の祥月命日の追善法要を行うのは初めてのこと。信仰の目的である「仏の境涯」に至ることを「人間革命」と表現した戸田先生は、「今世の人間完成の目標として明確化」しました。それをこの場で、伸一はアメリカ人に更に分かりやすく7つの指標として提示していったのです。

 健康、青春、福運、知性、情熱、信念、勝利の7項目がそれです。そしてこの7つを包括するものが「慈悲」であり、それは言い換えると「勇気」を持って行動することに通じるのだと訴えました。「慈悲」=「勇気」と簡潔に表現したうえで、「権力や光栄のために闘う人ではなく、他人を助けるために闘う人」こそ「偉大なる英雄」だ、とのスウェーデンの女性教育者の言葉が引用されています。「他人を助ける勇気」を持つことが人間革命であり、広宣流布の道だと聞いたアメリカのメンバーたちが奮い立ったことは想像にあまりあります。

 自分本位でエゴにかたまる現代人の最大の欠点を打ち砕くこの指標。創価学会の強さ、凄さがここに集約されています。かつてタダで動くのは地震と創価学会だけと揶揄されたものですが、ことの本質を突いたものといえましょう。「情けは人のためならず」ともいわれます。情け深い行動こそ、「創価」の真骨頂なのです。

●宇宙の根本の法則が図顕された御本尊

 4日には伸一は、サンディエゴ会館の入所式に出席して会員に語ります。その中で強く感銘を受けるのは、南無妙法蓮華経とは何かということについて、伸一がわかりやすくアメリカ人に語ったくだりです。

 「一言するならば宇宙の根本の法則であり、宇宙を動かしている根源の力であるといえます。それを大聖人は、一幅の本尊として顕されたのであります。その御本尊に唱題する時、我が生命が宇宙の法則と合致し、最大の生命力が涌現し、幸福への確かな軌道を闊歩していくことができる」(243頁)

   私もこの原理を自覚しながら懸命に唱題を続けて、生命力を涌現させてあらゆる課題に立ち向かってきました。不思議な現証が相次いで現れることに感嘆し、我を忘れる唱題の持続に勝るものなし、を実感しています。(2022-7-12)

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