【78】世界平和に「中国」から動く➖小説『新・人間革命』第20巻「友誼の道」から考える/7-28

★人のために何をするかー日中青年交流

 この20巻は、中国とソ連(現ロシア)への伸一の初の訪問(中国は2度めも)の様子、そして国連事務総長、米国務長官らとの対談を描いたものです。1974年(昭和49年)の5月、9月、12月における3度の試み、米国訪問には、〝中ソ対決〟や混迷続く中東問題の解決など、世界平和実現への伸一のあつい思いと強い情熱がありました。「新しい時代の扉は、待っていては開きはしない」で始まる「友誼の道」の章は、5月30日からの第一次訪中における中国が舞台です。伸一の17日間は、青年との交流から始まります。

 中国の旅の第一歩は深圳。中日友好協会の2人の青年の語らいから始まります。その後も幼稚園や小学校で子どもたちとの接触が展開していきます。【子どもと接するということは、未来と接することだ。子どもを育てるということは未来を育てるということだ】(36頁)とあるように、子どもとの交流場面が胸をうちます。中でも、案内してくれた少女に、伸一が将来どんな仕事に就きたいかと尋ねると、「人民が望むなら、どんな仕事でもします」と、答えます。それを伸一は、【人民に奉仕することの大切さを徹底して教えているのであろう。人のために何をするか➖人や社会への貢献の行動の大切さを教えてこそ、人間教育がなされるといえよう】と。(52頁)

 かつて私は創価学会第一次青年訪中団の一員として中国を訪れました。青年同士の友好の絆を創れとの師の思いを受けて実現したものでした。北京、石家荘などで、〝友誼の道〟を歩き、多くの青年と交流を深めました。「人のために何をするか」を教えられた者たち同士の打合いが、〝運命の日中両国〟を超えて展開されたのです。あれから45年余。あの時の彼らは今どうしていることか。会うことができたらとの思いが募ります。

 ★核廃絶に向けての絶えざる思いと行動

    中日友好協会の代表たちとの二回の座談会の模様が語られます。その中で最も注目されるのは、核をめぐってのやりとりです。核廃絶への流れを断じて作るということに必死の伸一と、核は持つがあくまで防衛的なものとする中国側。意見は異なりました。「しかし、核の保有、非保有にかかわらず、すべての国が平等の立場で、一堂に会して、核兵器全廃のために会議を開く」という点については完全な同意が得られました。友好ムードの中に緊張を孕んだ対話から伝わってくる熱意はまさに圧巻です。

 つい先ごろ、池田先生は8月1日に開かれる、核兵器不拡散条約(NPT )再検討会議に寄せて、「核兵器の先制不使用」の誓約などを求める緊急提言を発表されました。それに呼応し、広島と長崎で、創価学会青年部が被爆証言会を開催。核なき世界へ誓いを新たにし、〝ヒロシマ〟〝ナガサキ〟の心を学ぶ集いとしました。あの惨劇から77年。ありとあらゆる場面で、核廃絶を呼びかけ、具体的闘いを続ける池田先生と創価学会。そのあつき心は、今から48年前の北京での日中の座談会でも。それからも、今も変わらず続いています。

 核廃絶の理想実現に向けて、広島出身の総理大臣・岸田文雄氏の発言、行動が注目されるところです。これまでの池田先生の提言がどう生かされるか、しっかり見守りたいと思います。

★トインビー博士の大胆な中国観

    中国を離れる最終日。この間ずっと付き添ってくれた2人の青年とも別れる時が来ました。〝この友人たちのためにも、中ソの戦争は絶対に回避しなければならない。さあ、次はソ連だ!〟➖こう決意を固める伸一の胸に去来したのは、トインビー博士のことでした。訪中の直前にも喜びの声を寄せてくれ、励ましてくれた同博士こそ、伸一の大いなる同志だったといえます。

    今年は、トインビー博士と池田先生との対談から50年です。あの対談を思い起こし、胸に刻む作業をしている人は少なくないと思います。お二人の『21世紀への対話』の第二部第4章「中国と世界」は極めて示唆に富み、考えさせられます。博士が未来に起きる可能性として、「全世界が中国によって支配され、植民地化されるかもしれない」と大胆に予測。これは今、そこはかとなく、真実味を増してきている感がします。一方、池田先生は、これからの世界の統合の方向は、中央集権的な生き方でなく、各国が平等の立場と資格で話し合う連合方式ではないかとし、ECが見本であるとの見通しを述べられています。

 ECの後継であるEUが何かと難題を抱えている現在、先生の予想は困難な状況下にあります。私は、先生の見立てに希望的理想主義を感じ、トインビー博士の予測にリアルな悲観的現実主義を見てしまいます。中長期的には博士の方向に世界は進むかもしれません。しかし、幾度かの変遷を経てでも、最後には池田先生の見方に、大逆転の末に落ち着かせねばと、しきりに思います。(2022-7-28)

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