帽子の効用はどこにあるか、ご存じ?

先日観たテレビ映画『LEADERS』には大いに心惹かれるところがあった。トヨタ自動車の草創期における壮絶なまでの闘いぶり。リーダーのあるべき姿に。役者たちも見事な演技だった。そんな中で、気になったのはあの時代の男たちの帽子だ▲中折れ帽は今でこそ少しは見かけるが、いっときは皆無と言ってもいいほどだった。私たちの親の世代は被っていたが、私など持ってもいない。女たちは日除けに被る帽子をはじめ、それなりにおしゃれに着こなしているが、男は普段あまりお見かけしないだけに、帽子を被った男たちの映画のシーンは印象に残る▲そんな折も折、近くの幼稚園での園児たちの帽子を見て考え込んだ。一様に防止の後ろに日除け用の布を垂らしているのだ。これって、我々には旧帝国陸軍の兵隊さんたちを連想させる。こっちは最近になってこの手のたぐいの姿に帽子はすっかり占領されている。何もこうまでしなくとも、と思うのだが▲そんな私だが、毎日の早朝ランニングでかかさず野球帽を被っている。日除けでもない。おしゃれでも勿論ない。なぜか。その効用を知ったからだが、それはひとえに視線除けなのだ。ひさしのお蔭で、向うからくる人と視線を合わさずともすむ。被ってなければ、もろに視線が合い、挨拶を交わすことを余儀なくされてしまう。帽子一つのせいでひたすら黙々と自分の世界に浸れる喜びは何物にも代えがたい。(2014・4・14)

友遠方より来り、神戸を満喫する

北海道から友が夫婦連れでやってきた。奥さんは大阪より西には行ったことがない、と。私にとって育ち故郷の神戸か、生まれ故郷の姫路にか、どっちに案内するか。随分悩んだ末に、神戸にした。姫路はお城が未だ修理中だからやはり敬遠せざるを得ない。あの大震災から19年が経った神戸を観光客として一日回った感想を▲まず、海からの六甲と明石大橋をランチを食べながらのクルーズ。僅か1時間半という船旅は短かいとの欠点はあるものの、ムードは満点。港までのハーバーランド歩きは大いに賑わっていて頼もしい。駅前を高速道路が分断している致命的な欠陥はあるものの、それを跳ね返す元気が出来たのかも▲六甲山に行くには少し時間がなく、修法ヶ原コースへ。ここへは中学校の頃以来だから、私には実に50数年ぶり。桜が見ごろの日曜日というのに人影は見えず、辛うじて10人ほどの若い女性がハイキングに来ていただけ。帰りはかつて幾度か来たことのある展望台に。そこのレストランも昨年末に閉店。今はイタリアンの店に変貌。総じて厳しい世間の風を感じる▲次いで、北野坂へ。通り一遍に今まではやり過ごしてきただけだったが、初めてゆっくりと歩く。その味わい深さに感動。一軒づつの洋館を覗きながら、急な坂や階段を上り下りしつつ、風見鶏の館を上から見下ろす高台に。下の広場で綱渡りの大道芸を見る。かなりのきわどい芸の披露に感激。友人が経営する洋邸の結婚式場を見学した後に、老舗のジャズ・レストランへ。生まれて初めての神戸体験の人は勿論のこと、こっちも大いに楽しめた。友は遠方から来るに限るのかも。(2014.4.10)