《32》ロシアの蛮行に、悪夢ではない現実だとの驚愕/3-1

 プーチンのロシアがウクライナの首都キエフを侵攻したーこの悪夢が現実になることを大方の専門家は予測していなかった。NHKでソ連時代からロシアの今に至るまで、同国に通暁していたはずの石川一洋解説委員のニュース解説(日曜朝)での微妙に焦った口調がその辺りを裏書きしていた。神戸に住むウクライナ友好協会の会長・岡部芳彦神戸学院大教授も、自身の予測不明を恥じつつ皆横並びであることにいささか安堵していた感(金曜夜)は否定できなかった。なぜ、皆見誤ったか。よもやそこまで、と鷹を括っていたというほかなく、かの人物を我々と同じ合理的思考に立つと見ていたところに元凶があると思われる◆フジテレビ系の人気番組『ザ・プライム』では、安倍元首相の同大統領との過去の親しげな会談映像が何度も繰り返し流された。この2人何しろ27回も会っている。そのことが元首相が何を口にしても無意味に響いた。ロシアはゴルバチョフ元大統領のペレストロイカと呼ばれる大英断で、古く錆びついた共産主義の楔を断ち切り、変身した。と、思っていた。私たちはかの国の大いなる変化を勝手に都合のいいように解釈してきたのである。G7の仲間入りをして、あたかも〝遅れてきた民主主義国家〟になったかのように。錯覚だった。2014年のクリミア併合に今回の兆しが読み取れたのに◆プーチンの思惑とは?かつて自国の勢力圏にあった東欧地域が次々とNATO傘下に走り、取り込まれていき、下腹部にもあたるウクライナさえ自由にならない。ここが西側の橋頭堡になったら‥‥。国際情勢における彼我の関係を勘案し、失うものはあっても、やるなら今だ、と思ったのだろうか。専門家たちがあれこれと解説を披露してくれている。経済制裁が通じるのかどうか。国家も人民も辛抱強い国柄だから、との声も聞こえる。侵攻してきた若いロシア兵士にその非を突きつける、彼の母親のような女性の姿。続々と国外に脱出する子どもを連れた老若男女の映像。胸塞ぐいたたまれない思いになる。「戦争の世紀」といわれた20世紀が幕を閉じて、「9-11」のようなテロによる戦闘行為は「中東」を起因にあり得ても、国家間の戦争はもうない、と楽観的に思い込んでいた。それが見事に壊された。巨大な国家が弱小国家に襲いかかる、「力による現状変更」が目の前に展開されてただただ呆然とする思いだ◆戦争で失ったものは交渉のテーブルでは取り返せないー〝聞き慣れた格言〟だ。だから戦争をするのか。力には力でいくしかないのか。21世紀の今、それはないだろう。ではウクライナは見殺しか。世界中が非難の声をあげ、ロシア人民と相呼応し、内側からプーチンを倒すしかないのか。結局、人の世はいつまで経っても変わらない、という絶望感が鎌首をもたげてくる。この第三次世界大戦の暗雲漂う時に、日本に何が出来るのか。「地球民族主義」を掲げて、「中道主義」の宣揚に一意専心してきた公明党はどう行動を起こすのか。問われる課題は山積している。敗戦の年に生まれ77年。コロナ禍で、今再びの「敗戦」かと、「77年の興亡」を論じてきた私だが、「机上の空論」に陥らぬよう、今こそ立ちあがろう、と意を決している。(2022-3-9一部修正)

2 Comments

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2 Responses to 《32》ロシアの蛮行に、悪夢ではない現実だとの驚愕/3-1

  1. 福島康夫

    その通りと思います。私は暁の宇品を読んでいますが、丁度日本が引き返すことのできないターニングポイントとしての満州事変に触れているところでへプーチンの独立国家承認の報を聞きました。これはいけない、越えてはいけない一線を超えた。戦争になると思いました。日本は過去の愚かな蛮行を踏まえて今こそ強い世界へのメッセージを出すべきであり、核の抑止力がまやかしであり、極めて恣意的に使われることを訴えて行くべきでしょう。ウクライナに、ロシアにも題目を送っています。
    福島康夫

    • ad-akamatsu

      安田さん。ありがとうございます。私は既に世界大戦に入ってるとの認識です。
      福島さん。同時進行読書体験、ありがとうございます。

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