米国に同時多発テロが起きてから明日(9-11)で25年。〝希望の21世紀〟が始まった途端に「世界の警察官」を自他共に認めていた米国の首都が攻撃された。航空機の体当たりで、燃え盛る超高層ビル。2977人もの犠牲者を出した。テロと戦争がお茶の間で実況中継されたことはかつてなく、まるで絵空事のようだった。この歴史的紛争が発端となり、オサマ・ビン・ラディンを首謀者とするアルカイーダを匿うアフガニスタンへの20年に及ぶ米軍の攻撃や、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を保有しているとの〝不確かな疑惑〟をもとにした米軍の対イラク戦争が7年もの間引き摺った。世界の火薬庫といわれる中東はその後も燻り、今なおイラン戦争は終わらず、ガザをめぐるイスラエルとパレスチナの紛争が続く。一方の旗頭・ソ連は20世紀末にひとたびは崩壊した。ロシアへと国名を戻し、20数年の〝隠忍自重の雌伏期〟を経たのち、「ウクライナ侵攻」という〝悪逆非道の先祖帰り〟をやってのけた。一連の〝革命的変貌ぶり〟をプーチン大統領ひとりが演じ続けているのは呆れ驚く他ない。この間に民主・日本は何人の首相が入れ替わったか。小泉氏から高市氏まで安倍氏を2人に数えるとちょうど1ダース12人である。あれこれの評価はここではしない。戦争を経験せずに何はともあれ国が持ったことを喜ぶべきだろう◆日本の21世紀は自公政権と共に明けた。あれから25年。政権は「自維」に代わり、公明と立憲民主が組んで誕生した「中道改革連合」は、一年持たず早くも解体することになった。8ヶ月ほど前に支持者たちが抱いた高揚感は敢えなく打ち砕かれた。思い返せば25年前当時、私は新しい世紀の到来に胸躍らせ、春には地元姫路で、秋には首都東京での拙著『忙中本あり』出版記念会を開いたものである。旧世紀末から新世紀明けまでの2年間に新幹線車中で読んだ約300冊を中心に、読後感を政治家の日常の動きに絡め著
した異色の試みだった。それからの25年の時間のほぼ半分を現職として過ごし、引退した2013年からの後半13年ほどはOBとして懸命に動いた。現役時代の20年の内外の政治の動きを『77年の興亡━━価値観の対立を追って」と銘打って正続2冊に著し(写真)、人との交流を中心に『触れ合う読書━━私の縁した百人一冊』上下2巻に書いて出版した。書評を趣味とする政治家として魂魄をとどめる足跡を残し得たと自負している◆この間、紛れもなく世界の価値観は変わった。国際政治の枠組みは米国一極支配から「米中露2.5支配」へと変形したかに見える。トランプ米大統領の2016年からの一期の休みを挟んでの再登場は、強引極まるイラン戦争で国内外の分断を白日のもとに定着化させた。更にそれに相呼応するかのような習近平中国総書記の建国百年を見据えつつ「台湾奪還」を豪語する傲岸不遜な振舞い。そしてクリミア半島奪取(2014年)より2022年のウクライナ侵攻から4年、悪戦苦闘も辞さず制圧に血まなこになるプーチン・ロシアの執念。今や米中露三国は「無法者三羽烏」に陥った感が深い◆激変した世界の風景の中で、日本の政治はいかにと思いやるとき、心穏やかならざるものが迫りくる。自民党との〝ハイブリッド連立政権〟の時代を経た後に、高市早苗首相の登場と共に衆院は「中道」へと、立憲民主党と共に姿かたちをひとたび変えた。国民大衆のために自民党政治をともかく変えたいとの一心で、外からの改革路線を内側からのものへと転じてから約25年の闘いの末のことであった。公明の熱き思いに涙する思いだった。無念の挫折の後、これからどうするのか。『77年の興亡』において、私は2022〜25年に日本が大転換期を迎えるとの見立てを述べた。それが見事に的中したことだけは間違いない。だが、新たなる変革の主体者としての「中道」の破綻はいかにも嘆かわしい。戦わずして沈没する船から〝2人の旧船長〟は逃げ出して一体どこへ行くというのだろうか。(2026-9-10)
【114】25年目の「9-11」に、うち続く「戦争と政争の果て」を憂う/9-10
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