【51】船出してから1ヶ月の新政権と公明党/11-25

 高市早苗新首相が誕生してほぼ1ヶ月が経った。新首相は大きな期待度に概ね応えているとのメディアの評価はあり、支持率もかなり高い。先日、斉藤鉄夫公明党代表に別件で電話をしたところ、「首相の支持率は高いのに、私(斉藤)や公明党の方はどうも」と、ぼやき気味の言葉が飛び出した。それには、「そんなことないですよ。代表の評判も中々いいよ。ご心配ご無用」と励ましておきました。首相の1ヶ月は、当然のことながら野党公明党の1ヶ月でもあります。

⚫︎消費税率下げへの対応に見る「中道政治」の真骨頂

高市首相のこの1ヶ月の動きは目まぐるしいものがあった。中でもトランプ米大統領の訪日という巡り合わせは印象に残った。米艦艇上でのツーショットには、「はしゃぎ過ぎ」との〝お咎め評価〟もあったものの、明るさや陽気さは高得点に結びついている。国会での当意即妙の受け答えもユーモア度も含めて概ね評判は悪くない。ただ、立憲民主党の岡田克也氏の「台湾海峡有事」をめぐる質問に対しての答弁は明らかに〝勇み足〟だった。ユーチューブでの「能力が低過ぎる。ポンコツとしか言いようがない」(白井聡京都精華大准教授)といった、あけすけな批判は極端過ぎるものの、「一つの中国」っていう国家の機微に触れるテーマについて、不用意で余計な問題発言だった。事態が収まるまでには「75日以上」の時間がかかることは必至と見られる◆この発言について斉藤代表は「従来からの国の基本方針を堅持する姿勢があるのか、疑問だ」といった厳しい見方を示した。首相が持ち前の「対中強硬姿勢」を弄ぶことは国家を危うくすることに繋がりかなない。仮にこういった事態が与党公明党のもとで起こっていたら、「対中パイプの出番」ということになったやもしれない。一方、「戦争の終結」に向けて、トランプ氏は極めてウクライナにとって承認し難い〝打開案〟を持ちかけるなど〝危うい調停人〟ぶりを発揮している。「世界の平和」への真摯でダイナミックな動きを、公明党には期待したい◆一方、物価高対策について、政府は21兆円強規模の総合経済対策を講じようとしている。だが、これで効果が上がるかどうか大いに疑問である。公明党の対応について、23日付けの公明新聞では、①納税者ほぼ全員に1人2万円〜4万円の減税で所得を増やす②ガソリンの暫定税率廃止で1リットル25円の負担軽減など━━が見込めるとし、公明党が訴えたこと━━国民民主党との差異が不明だが━━が実現すると強調している。これはこれで一定の役割を果たすことになるといえるものの、現実的な生活実態からすると決して満足できない。先日も私の顧問先の団体(AKR=オール小売連合)での会議で、「消費税率下げ」が話題になった。消費税率の変動に伴ってレジの機能替えが追いつかないという国会での議論についてである。ものの1時間もあれば対応は可能できるのに、政治家は消費の現場を知ってるのかとの批判の声だった。消費税率下げをしたくない側のタメにする議論だとの指摘は聞き流せない◆公明党はこの26年間、自民党と政権を組んで、中道の立場で保守勢力の自民党を補完してきた。欧州では中道政党が、極右政党を支える状況が注目されており、「極中道」の定型パターンと呼ばれるている。実は、連立離脱に至るまでの公明党の動きについて、私は、日本における「極中道」的スタンスになりかねないものとして懸念してきた。国民大衆の生活を守るために、取り得る政策の選択幅を自在に変えることが大事なのに、自民党に寄り添い続けるというのでは、選択肢を自ら制限するに他ならなかったからだ。異常なまでの物価高に対して、消費税率をそのままにしておいていいのか。緊急時対応がなされないようでは、結局「極中道」という他ない。大衆の求めに応じて自在に政策選択を取り替えることこそ「真中道」の政党のあり方だといえよう。(2025-11-25)

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