森を守り抜くための「奥山保全トラスト」の闘い

大分旧聞に属することですが、さる3月14日にフジテレビ系で放映された「世界の何だコレ!?ミステリー」をご覧になった方はいますでしょうか?南アルプスの南端のある地域を衛星写真で見ると、濃い緑一色の人工林地帯に、茶色い四角のなにかがたくさんあるように見える。これはいったいなんなんだ?現地を訪れて正体を突き止めようという番組でした。建物か?それとも遺跡か?興味津々に視聴者をさせていく見応えある番組でした■実はこれ、公益財団法人奥山保全トラストが所有する佐久間トラスト地で、静岡県の「森の力再生事業」を使って、自然の森を復元するため、スギの人工林を大規模に群状間伐している場所でした。茶色く四角く見えたのはスギの皆伐地だったのです。地元の佐久間森林組合に委託して、これまでに60ヘクタール、7万本を超えるスギを伐採しており、全国でも例がない大規模な森再生に挑戦している現場だったというわけです。この番組の最後に、奥山保全トラストの室谷理事長(当時)が登場しインタビューに答えていたのですが、この事業の持つ意味を十分に伝えるだけの放映時間がなかったのはチョッピリ残念でした■このトラスト地には私自身数年前に訪れたことがあり、こうした試みをする団体に自分が所属していることを大いに誇りに思ったものです。つい先週末には、同公益財団法人の理事会があり、新たに購入しようとするトラスト地について可否を求める議案が提出されました。それによると、熊本県上益城郡、宮崎県延岡市、愛媛県四国中央市、岐阜県本巣市、福島県会津若松市などの山林を手に入れることが射程に入っており、大変に嬉しいことです。担当者の報告によると、「我々トラストが買わなければ、スギの人工林が植えられる可能性が高い。将来的には、広葉樹の水源の森になる場所で、放置しておけば、植生回復が見込まれることから、トラスト地として保全していく意義がある」とか、「ツキノワグマの個体数が回復した暁には重要な場所となる。標高700メートル前後のコナラ林なので、水源地としても確保しておきたい場所である」など、胸高鳴る中身でした■昨今、日本の森の荒廃がようやく注目されてきてはいます。戦後の拡大造林政策がすべての元凶ですが、伐り出すことも出来ない奥山にまで植えられたスギやヒノキなど針葉樹の人工林1000万ヘクタールのうち、3分の2が放置されたままです。広大な放置人工林は、山の保水力を著しく低下させ、豪雨のたびに崩れて人命や財産が失われています。また、こうした奥山には食べ物が何もないため、野生動物たちは餌を求めて里に出てくる原因になったり、大量の花粉を発生させて花粉症の原因になるなど弊害は深刻さを増す一方です。こうした人工林を天然林に再生させるために、抜本的な対策が求められています。「奥山保全トラスト」のような戦いを国が総立ちでやらねば、と思うことしきりです。(2018-7-6)

さてどうこれを保全するかとなると、なかなか適切な対応策はとられていません。

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