削ぎ落した生き方を変えた元首相

『跡無き工夫―削ぎ落した生き方』なる本は、5年程前に細川護煕元首相が出版されたものだ。農作業の傍ら、絵を描き、書の道に取り組む「晴耕雨読」の姿があった。当時、これは文人政治家としての「跡を作る工夫ー華麗なる生き方」だ、と思った。その潔い生き方に強い憧れを抱いた▼「首相経験者は座を降りたら代議士も辞めるべるべし」が持論の私は、それを直接当のご本人に申し上げたことがある。その元首相は、「その座にいた者にしか出来ないことがあるのです」と不興気に呟かれた。そうだろう、しかし、美しくない、と思った▼安倍首相が再度の登板をして、いささか気持ちが変化した。辞めていたら今は恐らくない。やり残し感があるうちは次を狙ってボロボロになるまでやり続けるのが政治家か、と。そういえば、未だに辞めぬ二三の顔が違って見えなくもない▼細川さんの都知事選出馬は私の周りでは、「殿ご乱心を」の見方が専らで、不評だった。私はそのお顔が気になった。明らかに人相が悪く見えた。首相当時に一二度席を共にさせていただいたが、優しいいい顔をされていただけに、彼我の差は驚きだった。かくほどまでになりふり構わず彼を立ち上らせたものは何か。私には「反原発」よりも「反日常」であったかに思えてならない。(2014・2・27)

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