地域おこしの担い手を養成する講座に参加して

榎田竜路(えのきだりゅうじ)という人物を知っていますか?音楽家にしてメディアプロデューサーであり、アースボイスプロジェクト代表社員というのが一般的な肩書ですが、そういってもあまり分かりませんね。「情報は資産」を核に、映画技術を応用した認知開発手法を用いて、地域や中小企業の活性化、人材育成などを各地で実施しているといえばかなり彼の実像に迫ることができるかもしれません。昨年らい、淡路島の地域おこしに取り組む中で私は彼と知り合いました。何しろ、北京電影学院客員教授、内閣府地域活性伝導師やら公益社団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会経済・テクノロジー専門委員なども務めるというマルチタレントの持ち主です。北京電影学院で教鞭を取る日本人は彼だけ。以前に高倉健さんがその立場にいたといいいますが、中国で圧倒的な実力と人気を誇る映像分野の殿堂にかかわる人物です▼その彼が私の地元にある神崎郡市川町にやって来るというので、先日出かけました。市川町の地域振興課が企画した「町づくりスペッシャル講演会」を聴くためです。講演のタイトルは、「地域の価値を開発する力とは」というもの。実はこれが皮切りで、このあと、6回にわたって「グローカルメディア・プロデューサー育成講座」が年内いっぱい開かれるのです。講座の全貌を総論の形で知れるとあって、町内を中心に30人ほどの皆さんが集まってきておられました。冒頭私が挨拶をさせていただくというハプニングがありました。榎田さんを引っ張ってきた市川町を褒め称えたあと、観光を軸にして地域活性化にいま力を注ぐ私として、この講演にいかに胸ときめかせているかを述べました。稀代の脚本家・橋本忍生誕の地である市川町こそ、メディアプロデューサーを生み出す地に相応しいということも付け加えました▼講座は、実に斬新で魅力的な内容でした。冒頭、彼が審査委員を務めるミス・インターナショナル日本大会での美女に囲まれたスナップ写真を見せるという衝撃から始まって、次々とユニークなトライアングル解説(三分割手法)を加えて、聴衆を巻き込んでいくのです。なかでも途中にアメリカの人気テレビ番組「メンタリスト」のワンシーンを織り込んでの話には圧倒されました。突然、妻が銃で夫を射殺する場面が出てくるのですから、驚かないわけにはいきません。理屈で解るというよりも、あれよあれよというまに講師の術中にはまってしまったというのが正直なところでしょうか。最終盤のところで、福島支援の狙いを持った「横山飾りや」の2分間の映像を見せられて、「なるほど、こういう風に地域の価値を見せる映像手法なら、どんな田舎の地域でもみんな誇りを持って元気になるぞ」と納得するに至りました▼現在、榎田さんは、鹿児島、沖縄、徳島、津山の各地で、高校生を相手にいわゆる人材育成のための講座も開いています。高校生×認知開発力×6次産業化=地方の未来といった図式が示すようなアプローチの仕方で日本の地方が抱える課題克服に立ち向かっています。彼の時代認識は、日本という国は(1)新卒の3割が3年以内に退職する(2)失敗に対して極度に不寛容である(3)大きな潜在力を秘めながらそれを生かせないーつまり、マッチング力がないというものです。地域においては、高校生が地域社会、地域経済の担い手でありながら、マッチングがうまくいかず、人口流出や地域経済の縮小に大きな影響を与えているということは周知の事実でしょう。そこに目をつけた榎田さんは、能力云々ではなく、物語とマッチングすることを狙いにした独特の教育展開を施しているのです。彼の認知開発力養成講座は、高校生に地域企業を取材させ、情報を整理させる。それを元に「画像」「文字」「音声」の三種類の情報として組み合わさせ、2分間の映像に編集させるというやり方です。この取材→整理→編集という過程で高校生は、苦しみながらも地域企業の持つ力や可能性に深く共感するというのです。この方式に絶対の自信を持つ彼は、私に対してぜひ一度高校生たちの成長した姿を実際に見てほしいと強く迫っています。(2017・4・13)

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