激しかった参議院選挙が終わってあっという間に三週間が経ちました。近く臨時国会が開かれ、参議院の構成も決まります。また、内閣改造も行われる見通しです。そして、新しい都知事も月内には決まります。ようやく政治の動きが軌道に乗って、仕事を政治家それぞれにしてもらう時が来ました。兵庫が送り出した伊藤たかえさんは、県内でたった一人の女性議員です。一方、民進党の議員は県内でゼロになるなど新たな政治分布図が浮かび上がりました▼女性弁護士出身の参議院議員といえば、かつて公明党の代表的顔であった浜四津敏子さんを思い起こします。私が大学に入学した昭和40年には、二学年上の法学部法律学科に在籍されていました。当時からその向学心の高さは知れ渡っていましたが、弁護士を経て政治家になられてからも多くの人を惹きつけてやまないものを持っていました。伊藤さんも負けてはいません。栴檀は双葉より芳しといいます。当選後のメディアでの登場における受け答えや振る舞いぶりなど大器を感じさせるに十分です。浜四津さんに勝るとも劣らない未来の公明党を築く大きな存在になるに違いないと確信します▼兵庫県の飛躍の背景の一つには、自民党の推薦が利いたということがあります。小選挙区の現職衆議院議員の皆さんを始め、力強い支援を頂きました。なにしろ24年間に培った自公関係はただならざるものがあります。最初の頃はぎこちなさが否めませんでしたが、近過去においては同じ党といっても言い過ぎではないほどの連携ぶりでした。私も自民党候補者を連れて友人宅を訪問するということを幾度もやったものです。そのお返しをしなければ、という思いを濃淡の違いはあれ、自民党関係者は持ってくださったと思います▼ただ、自民党は裾野の幅広いでかい政党です。様々な人びとが当然ながらいます。9年前のこと。参議院選挙で自民党の候補者が、聴衆の前で「この中に公明党の人はいるか。その人はわしの応援はせんでええで」と明言したのです。私は応援演説で、ユーモアを交えてその候補者と高校、大学、ものの考え方、性格、あらゆる面でほぼ対照的に違うが、「共産党が嫌い、民主党には負けない」という気持ちが一緒だと強調して、笑いを取ったものです。ところが、その人は「あんたのところとは、憲法観が違うし、国家観も違う」と連れない言いぶり。確かに憲法9条を大きく変えるとの信念を持ち、どちらかと言えば、「神の国」的志向の彼とは違います。細かく言えば、自公の間の溝は狭くありません。その意味での課題は山積しています。3年後、さらには6年後の参議院選の展望に思いを致すとき、ため息が出ます。そうした障害を乗り越えて、伊藤たかえさんを始めとする新しい仲間たちとスクラム組んで頑張るぞ、と決意しています。(2016・7・29)
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真の意味での安定もたらす「自民対公明」の構図
参議院選挙が終わって一週間が経ちました。私が住み、深く関わった兵庫県での結果は、自民、公明、大阪維新の勝利で民進党が落選。衆参合わせて民進党の議席はゼロとなりました。公明党としてはこれまでおよそ手が届かなかった50万票台に悠々と乗る大量得票を頂き、感謝で身が震える思いです。原因の第一は全国屈指の大激戦ということで、各地の支援者の皆さんの応援のたまものです。第二には、自民党推薦となり、安倍首相はじめ自民党とりわけ県内各地の衆議院議員が親身になってくれた結果です。第三に、民進党候補者は、民進党と名前を変えても有権者の間に不信感が消えなかったことが挙げられましょう▼全体として、自民党がギリギリで単独過半数を獲得したこと、憲法改正の発議に必要な議席を「改憲政党」が獲得したことが話題になっています。ことここに至った理由は、「自公対民共」という政権選択の構図を描いた安倍、山口の与党首脳の作戦勝ちということでしょう。これは選挙に勝つという観点からはやむを得ないことでしょうが、多様な課題を持つ現状の政治状況からすれば、与野党の政策を吟味することが叶わず、あまり褒められたことではありません▼選挙戦が終わってメディアはしきりに「憲法改正」に向けての環境が整ったかのごとくに報じています。確かに従来にはなかった舞台が出来上がったことは確かです。ただ、ここから注意を要するのは公明党のスタンスです。ご承知いただいているように、公明党はいわゆる改憲ではなく、部分的に足らざるを補う「加憲」です。しかも憲法3原理は堅持するーつまり9条は触らないという立場です。ですから、改憲勢力としてひとまとめに括ることには無理があります▼「自公対民共」という枠組みは選挙で勝つうえでは効果的でしたが、政権の具体的運営、政策の細かな展開では、「自民対公明」の対立構図があるのです。もはや民進党に野党第一党としての矜持を期待することは望み薄です。世界観が異なる政党と組むということの非を多くの国民が認めています。ゆえに、これからは与党内野党としての公明党に大いなる期待を寄せる必要があります。公明党は決して自民党の言いなりにはならない党であり、自民党の良いところは伸ばし、悪いところは容赦なく壊す政党であることを天下に示さねばなりません。それこそ真の意味での「政治の安定」をもたらすものだと確信します。(2016・7・16)
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