臨時国会が5日に開会されました。高市早苗氏が自民党総裁になって1年。直後に行われた衆院選挙の結果、「自公」から「自維」へと政権主体は変わりました。自民党は衆院では圧倒的な議席を得て、国会における状況は「一強多弱」へと一変しました。とりわけ少数野党の分散化が一気に進み12政党にも及びます。国際社会ではロシアのウクライナ戦争もイラクによるガザ紛争も、アメリカのイラン戦争も続いたまま。この閉塞状況をどう考え、打開の道はあるのかを巡る「架空の親子対談」を行ってみました。父親は70代半ばの団塊世代、息子は40歳代後半のそのジュニア世代という設定です。
◆結党から60年、まさに振り出しからの再出発
息子)公明党大会で新たに岡本三成さんが代表になったけど、彼の評判はとてもいいね。名実ともに、新時代の到来って感じがするよ。ようやく公明党も本格的に世代交代したんだ。中野洋昌新政調会長は僕と同年代だし。
親父)そうだね。斉藤鉄夫前代表が無類の人柄の良さはあっても、旧世代のリーダーという感が否めなかったからなあ。「中道結成」という新たな挑戦は決して間違ってなかったけど、高市自民党の急襲にしてやられてしまった。ご苦労さん、お疲れ様でしたと言う他ない。
子)公明党の60年の長い歴史を結党の時からずっと応援して来た親父さんから見て、現在の時代状況をどう捉えているの?僕らや更に若い世代からすると、政治への夢、願望が持てなくなった気がしてならないんだけど。
父)うん。前から言っているように時代も人間の身体と同じように40年を一つの節目にして変わっていくってことかな。第二次世界大戦で「一国滅亡」の悲運に直面して80年。日本も世界も「二つ目の40年」を迎えた変革期だよ。若い世代こそ新時代の変革の旗手として政治を変える意気込み持ってくれないと。
子)親父さんの持論「77年の興亡」の見立て通り、日本も、世界も曲がり角、岐路に立ってるってことだろ。でも日本の舵取り、政権運営の一翼を公明党は担っていたのに、その座を自ら降りたってのがもう一つ納得し辛い。
父)それって世界におけるリベラリズムの退潮傾向と軌を一つにした、いわゆる権威主義の隆盛と民主主義の低調と関係があるよね。日本でも高市早苗首相の誕生はいわゆる岩盤保守層の支援を背景にしていて、その危うさをいち早く感じ取った公明党は袂を分つ決断をしたんだ。でもいかにも急拵えで、「中道」が挫折したのは無念だった。
子)あのまま自民と一緒に政権組んでた方が良かったという意見や、いや別れドキだったという主張もあるし、中道をめぐっても諦めるのが早過ぎる、いや立民とは肌が合わないから決断は早い方がいいという見方もあるよね。今更だけど、これからどうすべきだと思う?いつまでも転換期だから、変動は必然だとばかり言ってられないよ。
◆日本のアイデンティティー再発見こそ
父)そう。今こそ理想を掲げ現実に立ち向かい、結果を出すしかない。臨時国会が始まるんだけど、簗和生農水相が補助金配分を巡って身勝手な権威を振りかざしたとされたり、またも沖縄県で米海兵隊員が女性に対し強盗殺人事件を起こした容疑で逮捕されるなど、根本的解決が求められる。日本の「政治」の本気度が問われていくよ。
子)4日のNHKの日曜討論では珍しく衆院の元議長(自民)と元副議長(立憲)が登場して、学者や専門家と共に、野党の存在意義やら与野党間の「熟議」が強調されていたね。2人の風貌の熟成具合が印象的だった。
父)2人ともほぼ同世代だけど、公明の先輩達も表に出て欲しい。後輩へのアドバイスを頼みたいね。ワシは国会は国家の基本になる論議を進めるべきで、目先のことにとらわれ過ぎない方がいいと思う。党首討論から予算委や本会議のあり方まですべて見直しすべきだ。AI時代に見合った新基軸を打ち出さないと、政治の信頼を取り戻せない。
子)この間、佐伯啓思さんの話題の著作『日本人の精神1』を読んでると、「今日、日本が、何の確かな価値観もなく、また方向感覚もなく、ただこのグローバリズムの世界を漂っている」と慨嘆しているくだりにでくわした。確かに、日本の現状はそんな感じだけど、そんな風に言われて日本の各界リーダーたちは悔しくないのかなあ?
父)佐伯さんて、理論誌『公明』8月号の巻頭インタビューにも出ていたね。「日本のアイデンティティーを再発見することが混迷を深める世界を生き延びる糧になる」と述べていた。要するにアメリカニズムとグローバリズムに引っ張られるな、日本本来の姿を取り戻せってことだと理解したけど、さてさて、出来るかどうか。
子)戦前の〝天皇の国家〟から、戦後は〝アメリカの族国〟に変わったようで、日本のアイデンティティーは曖昧なままだね。80年間も戦争せずにきた「被曝国家」の貴重さが埋没してしまっている。公明党の議員は「法華経の哲学」という価値観を厳然と持ってるのだから、普通の政治家じゃないってとこをもっと見せて欲しいよ。
父)この間NHK テレビの『バタフライエフェクト』で、「〝神の国〟アメリカもう一つの顔」という、米国政治におけるキリスト教の動きを克明に追った番組を観たけれど、呆れるほどの〝宗教国家〟だね。やはりNHKでの『こころの時代』で、日本の「宗教と政治」に迫ろうとしている。政治家も皆んなもよく観て、考えて欲しいね。
子)宗教(哲学、思想)と政治の関係をめぐっての深い議論がなされていかないと、結局は80年前と同じ失敗を繰り返すことになりかねないと危ぶむよ。(2026-10-5)