革命的な3人の歯科医たちの挑戦

凄い人がいるもんだとあらためて深く感心した。27日のNHK総合テレビで放映されたプロフェショナル 仕事の流儀 『ぶれない志 革命の歯科医』で取り上げられた熊谷崇さんのことである。ご覧になった方も多いに違いない。見損なった方は、なんらかの手段で見られることをお勧めする。番組での世界屈指の歯科医との触れ込みも決してオーバーではないと思われる。35年にわたって取り組んでこられた予防歯科治療は今、山形県酒田市で大きく実り、全国に広がろうとしている▼歯は痛くなったら歯医者さんに駆け込み、痛みが取れたらそれでいい、しばらくは行かない、という人が大半だろう。しかし、痛むようにならないための治療に取り組む熊谷さんは、患者のそういった安易な姿勢を許さない。痛み止めの応急措置はするものの、口腔をきれいに清掃してからでないと、直接的な歯の治療はしないのである。およそ27もの治療室はすべて個室で、歯科衛生士は20人もいるという。歯垢をとるために歯の間をフロス(糸で摩擦)したり、唾液検査もするという徹底ぶりだ▼歯はその人の人生そのもので、歯科医師は患者のパートナーにしか過ぎず、どこまでも患者本人のメンテナンスをする姿勢に健康な歯はかかっているという。実はこうした基本の考え方を持つ凄い歯科医は私の住む姫路市にもいる。河田克之さんだ。ジャーナリストの青山繁晴さんと淳心学院中高等部での同級生同士の間柄で、昨年対談本『青山繁晴、反逆の名医と「日本の歯」を問う』を出版した。この人も徹底した歯石取りを進める。歯磨きだけで事足れりとする姿勢を改めることを強調し、歯周病菌が歯槽膿漏の原因ではなく、歯周ポケットにたまった歯石にあるというのだ。歯石取りを習慣化しない歯科医界の現状やそれを放置する厚生労働行政に警鐘を乱打している▼わが姫路にはもう一人凄い歯科医がいる。既に何度も紹介してきたが、高石佳知さんだ。この人は、歯に骨密度が集約的に表れ、骨粗鬆症の予兆は歯に出てくるという仮説を立て、ついにそれを裏付ける検証を行った。海外で学術論文を発表し、高い評価を受け、今では骨密度を測るためのソフトも開発した。かつて私はご本人から事情を聴いたうえで、衆議院予算委員会分科会で質問にたち、厚生労働省に注目を促した。こういった方々の主張や研究をもっと多くの歯科医や内科医が注目する必要がある。どんな世界でもそうだが、出る杭は打たれる傾向にある。この人たちの試みが大きな潮流になることを強く期待している。(2014・10・29)

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