長かった参議院の選挙戦が終わりました。いきなり解散に持ち込まれるケースの多い衆議院と違って、予め見通しが立つ分だけ、準備に相当な時間がかけられるため、長く感じられます。私の地元の兵庫県では今回も全国屈指の激戦区と云われましたが、予想通り厳しいものとなりました。結果的には、維新の候補者がトップ当選し、自民党の候補が3位で、公明党の新人は2位に食い込みました。得票こそ3年前に4万票ほど及びませんでしたが、堂々50万票を獲得できたことは、嬉しい限りです▼ここでは表層的な捉え方になりますが、3年後の次期参議院選に向けて、どうしたらいわゆる浮動層と見られる有権者の支持を得られるかについての考察をして見ます。まずその前に「維新」の躍進をどう見るかです。これは大阪での都構想を巡る一連の動きにおける同党の人気が兵庫にも押し寄せた、つまり「維新」にとって追い風が吹いたと見るものです。その側面は確かに否定できません。ですが、それだけでしょうか。私はこの党の躍進は日本におけるもう一つの保守政党への待望論と重なって見えてなりません。単に大阪や兵庫における特殊な現象と見ない方がいいように思われます。尤も「維新」の方に全国的な政党としてことを構えるゆとりがあるかどうかというと覚束ぬところはあるのですが▼ただ、今の時点で浮動票がそれなりに取れる「維新」は侮れません。自民党から共産党までの老舗の政党で唯一と言っていいくらい背後に組織がないのに、票が取れる政党に見えてなりません。浮動票がなぜ取れるか。いくつかの点がありますが、最大のものはリーダーの物言いがはっきりしていることでしょうか。橋下、松井と続く首脳の言動はそれなりに明確な意思が読み取れます。彼らのいうところの、しがらみのなさとでもいうべきものでしょうか。憲法を巡る態度でもそのあたりの姿勢は明確に伺えます。保守二党を待望する世論が、安倍自民党の独走気味が目立つほど、反比例して強くなるように思われます▼そうした状況下で、公明党が自民党との距離を縮め、「公明党の自民党化」(神戸新聞)を強めているとの見方が専らです。本来、私のような古い公明党の政治を知ってるものからすると、「自民党の公明党化」を目指して、連立を組んで自民党の内側からの改革を目指したはずなのですが。自民党にもの申す場面が少なく、寄り添う場面ばかりが目立つのは不本意と云うほかありません。ミイラ取りがミイラになったというのでは困ります。参議院選挙は3年後にやってきますが、その際にどれだけ浮動票を集められるか。党としての〝らしさの発揮〟と、団体、組織票とは別に、候補者個人の魅力を高めるかだと思います。かつて公明党が野党の頃に政府を批判する力が目立ちました。先日亡くなった草川昭三さんや、市川雄一さん、そして今も健在の黒柳明さんらは個人の質問力で名を高めました。与党になってからそうした迫力を持つ公明党議員が少なくなったため、一段と人気を持つ人が少なくなったように思えます。参議院自民党の西田昌司氏のように与党でも大向こうを唸らせる質問をする人もいます。公明党もそうした力のある個人票を持つ政治家を育てていかねばと思うことしきりです。(2019-7-23)