今の「政治」はコロナ禍後に抜本的に変わるとの予感

☆世界の知識人3人の提言

新型コロナウイルスの猛威が人類史の上でどういう意味を持つかとの問題は、緊急の医療、政治、経済政策的対応とは別に、極めて重要です。様々な知識人による発言がありますが、先日NHKで放映された、三人の世界的な著名人へのパンデミック・インタビューは聞き応えがありました。三人とは、イアン・ブレマー(米国在住 国際政治学者)、エヴァル・ノア・ハラリ(イスラエル在住 思想家)、ジャック・アタリ(フランス在住 歴史家 経済学者)で、聞き手は道傳愛子さんでした。

それぞれの主張を簡潔に要約すると、ブレマー氏は、中国の国際政治における影響力拡大が注目されるとの見立てをしていました。ハラリ氏は、全体主義的機運の台頭に今後は気をつけていく必要があり、いかなる事態にも民主主義的価値を守らねばならないというスタンスを表明しました。アタリ氏は、自国第一主義を退ける一方、利他主義こそが今最も求められている価値観であることを訴えていました。

私は彼らの主張を聞いていて、直感的にアメリカの時代はこれで終わるとの予感を持ちました。勿論それへの道筋は紆余曲折を伴うでしょうが、その流れが加速化するに違いない、と。合わせて、ポスト・コロナ禍の時代には全ての分野で、新しい価値観が古臭いものに代わって登場するに違いない、との確信をも持つに至りました。

☆与野党のあり方の視座の転換を

そんな思いを抱いたあと、19日のNHK の国会討論会での与野党の中心者の議論を聞き、日本の政治の世界でのこれからのあるべき姿に思いをいたさざるを得なかったのです。それは一言で言えば、与党・自民党の時代の終わりです。この30年の日本は、二つの巨大災害の直撃を受けました。阪神淡路の大震災と東日本大震災による福島第1原発の原発事故です。前者は社会党を中心とする自社さ政権、後者は民主党政権でした。今回ある意味で初めての自民党中心の政権のもとでの緊急事態です。安倍首相は当時の政権の震災対応を悪しざまに言ってきましたが、自らの感染症パンデミック対応もあまり褒められたものでないことがハッキリしてきています。「安倍さんはやはりダメ」「自民党よお前もか」との気分が広がってきています。

未だ始まったばかりで、断定的なことをいうことは憚らねばなりませんが、これだけの未曾有の事態を前にして、この事態が終わった後も同じ統治形態であってはならないのではないかとしきりに思うのです。それは、勿論、民主主義から全体主義への復古を意味するのではありません。未だ見たことのない先鋭的な統治の姿であって欲しいとの願望です。政府与党の酩酊的蛇行ぶりを見ていると、野党の代表が異口同音に「もっと我々の主張を聞け」という言いぶりに同意したくなります。野党も〝昔の野党ならず〟ということに期待したい気分が大きく、無い物ねだりに終わる公算は否定できないのですが。

周知のように、二転三転の挙句、国民全てに10万円を支給することが決まりました。この過程で、予算組み換えをせよとの公明党の要求を自民党はしぶしぶ受け入れましたが、この辺はもっと平時から柔軟に対応すべきです。今回のことで、私的には山口代表がここ一番で立ち上がった印象が強いことに深い感銘を抱くと共に、ここから先は、もっと大胆に頻繁に自民党にもの申す姿勢を見せて欲しいということがあります。かねて、私は公明党がいま野党なりせば、ということを言ってきました。改めて、公明党が与党であり続けることについては、検討を要するのではないか、と思います。少なくとも、安定と改革の優先度は逆転させるべきだと思うのです。(2020-4-21 一部修正版)

 

 

 

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