農相交代に見る安倍政権の赤信号点滅

西川公也農水相が辞任(したがって前農相と書くべきでしょう)したことから、しきりに安倍首相にとって農水省は鬼門だとの評論が目立っています。第一次安倍内閣の時に、次々と農水省が不祥事で倒れて交代を余儀なくされた悪夢が甦ってきます。その発端となったのは、故松岡利勝さんでした。たまたま私が現職時代に住んでいた赤坂宿舎の真下の階に彼はいて、首つり自殺をされたことから、辛くてわびしい思いをしたものです。今となってはあんなことで人生に幕引きすることはなかったのに、と思いますが……。後を引き継いだ赤城徳彦さんは、突然に顔に大きな絆創膏を張って登場したりして、世の不興を買ったものです。衆議院国土交通委員長を私が勤めたとき(2001年)の自民党筆頭理事が彼だったこともあり、それなりの交流がありましただけに、今はどうしているのかと思いやられます▼第二次安倍内閣の組閣時に、むしろ農相には西川氏よりも相応しいと思う親しい自民党農水族の中堅がいただけに残念な思いがしました。昨年末の衆議院選挙後に西川氏からその人に替えるべきだったと思っても、文字通り後の祭りというものでしょう。急な交代ではやはり初入閣では荷が重すぎて、ベテランの林芳正氏になったのは自然だと思います。彼は、参議院議員であっても有力な将来の総理候補ではないでしょうか。かつて防衛相時代に、あるなうての防衛官僚がいかに林氏が安保・防衛分野に卓越しているかを語っていたのが強く印象に残っています。何をやらせても卓越した知恵と知識を持っており、質問力も答弁力もぴか一だと思います▼安倍首相はここらでよほど気を引き締めないと、落とし穴にはまる危険がないわけではありません。週刊誌報道では下村博文文科相のスキャンダルも報じられており、真実ならば決して油断できないといえましょう。先日の予算委員会での岡田克也民主党代表との論戦もしっかりと見ましたが、かなり危うい場面もありました。先の総選挙において菅官房長官が選挙応援に出ずっぱりだったことを追及されてむきになってみたり、集団的自衛権問題で、限定的導入と一般的導入を混同する曖昧な姿勢を露呈するなど、今後の不安材料には事欠きません。民主党の元外相・前原誠司氏らに、野次を飛ばすことをたしなめられても、反省するどころか返って居丈高に言い返すのはどういうものでしょうか。圧倒的な多数議席を得た首相らしく、もっと堂々たる態度を望みたいものです。(2015・2・26)

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