池上彰氏の底力ーBS5夜連続対談を見ての感想

池上彰という人ほど毎日の如くテレビに出ているひとはそうざらにはいない。勿論、いわゆるお笑い芸人と称される人を、連日連夜のごとくテレビでお見かけすることも少なくない。しかし、池上氏は2時間ほどもの長時間にわたって様々な時事問題を解説するといった登場の仕方で、その影響力たるや右に出る人はいないものとさえ思われる。その彼がBSの5局、しかも5夜連続で各界の売れっ子と対談するというので、ビデオに録ってみた。一人2時間だから合計10時間は、見るだけでもなかなか大変。このほどようやく見終えたので、そこで感じたことをざっと取り上げてみたい。その5人とは、橋田壽賀子、美輪明宏、磯田道史、久米宏、ビートたけしという面々■橋田壽賀子さんは『安楽死で死なせてください』というタイトルの本を出しており、それが対談のきっかけとなった。番組の中に実際に安楽死が認められている国での、「服毒自殺」の瞬間が放映され、かなり衝撃的だった。ただ、彼女は安楽死を本当に今望んでいるというよりも、元気で生きている間はいいが、まじかに死を意識するようになったら、安楽死を選択したいという程度のものであった。印象的であったのは、彼女が池上さんの書いた本よりもテレビでの話が面白いといっていたところ。本業は文筆家であると自負する彼としてはいささか不本意そうだったが無理もない。三輪明宏さんはご存知元丸山明宏。絶世の美男子として一世風靡した人だが、その一代記はあまり知られていない。この度の番組で知り、その波乱万丈ぶりは興味深かった。作家三島由紀夫の愛人だったのでは、ということはあまねく知られている。そこいらを訊かれてさらりとかわしておられたのは、味わい深いものがあった。昨今は黄色い長髪をたびかせて妖艶さを漂わせている。池上氏が最後の解説のところで三輪さんのことをしきりに「彼女は」といっていたが、「彼」ではないのかと気になった■磯田道史さんは、若い歴史学者。この人も昨今よくテレビに登場する。最初の頃はメガネをかけていたのに、今はかけていない。コンタクトなのだろう。もっと書くことに専念されたら、などと余計なことを考えてしまう。『陰謀の日本中世史』の著者・呉座勇一氏などと比較し、少々書くものが軽いと思うのは私だけだろうか。久米宏さんは我々世代の「テレビ世界」の寵児だった。池上さんとの掛け合いは、新旧のテレビ解説の裏舞台を垣間見せてくれ実に面白かった。ビートたけしさんは妙におとなしく感じられ、普段の凄みがなかったように思われる。昨今のトラブルが影響したのかと勘ぐったりもしたのだが■池上さんの様々な場所での講演は実に多彩で、ただただその知識の深さ、幅広さに驚く。現代世界史の講義や経済をめぐる解説など色々と彼の「作品」を私はCDで持っている。以前にノート片手にそれを観たり、聴いたりしたものだが、実に勉強になる。尤も、分量が多くただ見るだけでも大変である。先年、姫路にこられた時に、会場別室で数人の方々と一緒に色々とお話を伺う機会があった。何時ものテレビでの印象と全く変わらぬ気さくな印象で、好感が持てた。くだらないテレビが多いと思われる時代状況で一層この人の果たす役割はおおきいものと思われる。(2018・4・15修正)