「日常の奇跡」を自覚するー「熊森協会」顧問になった安藤誠さん

恥ずかしながら、安藤誠なる人物を全く知らなかった。米国のスミソニアン博物館2018年グランプリを受賞された動物写真家だということを、芦屋市で開かれた講演会に行って初めて知ったのです。この講演会は、彼が日本熊森協会の顧問に就任されたことを記念して、去る10月30日に開かれたもの。それに、同じく顧問をしている(もう20年近い)私も参加したのです。その場に行って、彼が写した写真や映像を見ながら話をされるのを聴いて、本当に感動しました。これは凄い、本物の人物だと強く感じいった次第です。1964年札幌市生まれと言いますから、現在54歳。釧路湿原を抱く鶴居村に移り住んで31年。広大な自然に囲まれた地に、ウイルダネスロッジ・ビッコリーウィンド(宿泊施設)を開業されています。野生動物の生態を写真にすることを主たる仕事にしながら、釧路湿原、阿寒摩周、知床の三つの国立公園やアラスカでネイチャーガイドをしたり、講演旅行をされているとのこと。今回も芦屋まで北海道からバイクで来て、18都市での講演を続けながら、北海道へ戻るということでした■講演会でまず感動したのは、本物に触れて欲しいというメッセージでした。世には様々なものが存在しているが、中々直に認識することがない、人づてや、ネットや映像を通じてということが多いが、そうした間接的認識に頼るのではなく、出来るだけ生に接触せよといわれるのです。それはそうでしょう。熊、鶴やフクロウと会話をしている様子(彼の話術のなせる技でしょうが、本当に会話していると思わせて余りあります)の映像は圧巻でした。さらに、彼のいう「日常の奇跡」という言葉にも大いに感じました。つまり、我々は日々の暮らしをごくごく当たり前のようにやり過ごしていますが、一つ一つがかけがえのない一瞬の集積であり、奇跡といっても過言ではないことを自覚すべきだと言うのです。確かに今ここでの出会いや出来事は二度と再び経験できないことがほとんどです。それを奇跡と捉えることはいかにも重要だと思えました■ところで、熊森協会については、日本最大の環境保護団体とはいえ、まだまだ認知度は低いようです。私も顧問と書いた名刺を人様に見せるたびに「なんですか、これ」っていつも訊かれます。先日その熊森協会の室谷会長はじめスタッフ3人と一緒に国会へ要望に参りました。狙いは森林環境税で放置人工林を天然林へ再生しようということを関係議員に伝えることでした。かねて、有力議員を紹介して欲しいと頼まれていましたが、ようやく11月2日に井上義久公明党副代表、石田祝稔政調会長と会えることになり、揃って出かけました。併せて自民党の中谷元代議士、また江田康幸衆議院総務委員長(公明党所属)にも会うことができました。濱村進農水政務官(公明党所属)は秘書さんの対応でしたが、皆忙しい時間をやりくりしてくれ大いに助かりました■戦後の拡大造林政策のため、天然林を伐採し、奥地深くまで植えまくったスギやヒノキの人工林。今や大部分が間伐も出来ず、伐り出しも出来ずに放置されたままで荒廃する一方です。こうした放置人工林の内部には、日光が入らないので、下草がなくなってしまい、雨で表土も流出。保水力は低下し、谷川の水量も激減。生き物の棲めない死の森となってしまうと共に、豪雨のたびに山が崩れ、大変に危険な状態です。今や昔と違って木材需要が減少の一途をたどっていることは周知の通りです。人工林の面積は三分の一程度でもよく、後の三分の二は自然林に戻しても、林業にとって全く問題ないことを林野庁もようやく認めるに至っています。ですが、油断していると、天然林の自然再生は覚束ない可能性も十分にあることから、最後まで目を光らせて欲しいと注文したしだいです。会ってくれた議員の皆さんはそれぞれ尽力を約束してくれました。ありがたいことでした。(2018-11-11)

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