放置人工林を天然林化する仕組みを今こそ

日本で最もまじめに奥山を守り抜こうとしている団体ー公益財団法人「奥山保全トラスト」。その理事会が16日に開かれ、私も参加してきました。この日は平成30年度の事業報告、収支決算を承認するためのものでしたが、この一年で、5ヶ所の新たな地を取得したことが報告されました。宮崎県延岡市北川町(10ha)、熊本県上益城郡山都町(31ha)、福島県会津若松市(5ha)、岐阜県本巣市(57ha)、愛媛県四国中央市(10ha)の5ヶ所です▼これで、この財団が所有するトラスト地は、全国17ヶ所、延べ面積は2100haとなりました。それぞれのトラスト地では、人工林の間伐、広葉樹林再生、植生保護、野生動植物の調査などを進めており、平成30年度は、白山トラスト地で、自動撮影カメラの設置を行って、野生動物の撮影に成功したといいます。公益財団の資格を得てからだけでも5年。それより前の段階を加えると、十数年間の地道な奥山保全への動きを積み重ねてきており、極めて注目されるものと思われます▼戦後の政府の拡大造林政策は、伐り出すこともできないような奥山にまでスギやヒノキなど針葉樹を植えまくりました。その結果、現在では1030万haと言われる人工林のうちの3分の2もの多くが放置されたままになっています。この広大な放置人工林は、山の保水力を著しく低下させ、豪雨のたびに崩れ、人命や財産を失うに至っています。加えて、スギ・ヒノキから発生する大量の花粉により、花粉症が大発生し、国民生活を脅かしていることは言うまでもありません。「奥山保全トラスト」は、こういう事態を変革するために、実践自然保護団体の一般財団法人「日本熊森協会」と力を合わせて懸命の挑戦をしてきています▼そんな折、政府もようやく重い腰を上げて、森林整備に本格的に取り組もうとしていることは注目されます。通常国会に、「森林環境税及び森林環境譲与税法案」を提出したのがそれです。これは、住民一人につき1000円徴収し、約620億円を森林整備に充てようというものです。ただし、林野庁が公表している使途は、❶間伐(境界画定、路網の整備等を含む)❷人材育成・担い手確保❸木材利用促進、普及啓発等ーとしか挙げられていないのが気になります。肝心のスギ、ヒノキの放置人工林を天然林に替えていくとの記述がないのです。天然林化に徴収された税金が必ず使われることが確信できないということでは、画竜点睛を欠くことになりかねません。私は公明党や自民党の関係者たちに、このことを訴えてきましたが、残念なことに法案に反映されていないのです。(2019-2-20)

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