米中対決の狭間で日本はどう生きるかー大阪での時局講演会から(下)

一方、国際政治における最大の問題は、中国の膨張です。ある雑誌の「独裁国家中国という今そこにある脅威」という特集では、「習近平が目論む中国未来年表」なる、これから30年の中国がアメリカを越えて、世界の覇権を目指すタイムスケジュールが掲載されています。それによりますと、

2019年に科学技術の研究費が世界一位になります。

2020年には中国版GPS「北斗」が世界で運用開始となります。

2022年には有人宇宙ステーションを運用開始。

2025年には国防費が米国を抜いて世界一位となり台湾に軍事侵攻。

2029年には人口が14・5億人のピークになります。

2030年にはGDPが世界一位になり、AIで世界をリードします。

2035年には中国海軍が米海軍に並ぶ。国民一人あたりのGDPが世界一位に。

2049年には中国の夢ー中国民族の偉大なる復興ー実現する、というのです。この年は中華人民共和国が建国100周年となり、中国が経済・軍事・文化のあらゆる面で世界の支配者になるといいます。

また中国は、要衝と呼ばれる世界の港をことごとく抑えようとしており、その手法は、かつての大英帝国が香港をアヘン漬けにして、戦争に勝ち奪い取ったものですが、それを見倣い、発展途上国等を借金漬けにして、そのカタに港を奪おうとしています。因みに、中国が牛耳る世界の主な港湾は以下の通りです。

ハリファ港(アラブ首長国連邦)、ピレウス港(ギリシャ)、セーブルージュ港(ベルギー)、チャオビュー地区(ミャンマー)、ハンバントタ港(スリランカ)、ダーウイン港(オーストラリア)、グワダル港(パキスタン)、ドゥクム港(オマーン)、ジプチ港(ジプチ)、ティバサ地区(アルジェリア)

さらに、2015年には、IMFを中心にしたアメリカ中心の国際経済秩序によるアメリカの影響力を排するためにアジアインフラ投資銀行を創設するなど、60カ国に及ぶ国々を傘下に組み込んでいます。

こうした流れを見ると、かつて「米ソ対決」のもとでの「スターウオーズ」を思い出します。米ソ超大国が軍事力競争が嵩じて地球上から宇宙にまでその〝戦場〟を広げたことに似てなくもありません。これは結局、財政負担にあえいだ上での「ソ連の崩壊」を引き出して、アメリカの勝利に終わりました。ただ、ソ連と違って中国はそのやり方・手法が半端じゃないことから、そう簡単に勝敗は決しないとの見方があります。もちろん、同時に中国における共産主義中央集権に翳りが生じて、いくつかの連邦国家に分裂するとか、あるいは国家崩壊の危機に瀕するとの見方も根強いことも否定できません。

こうした状況下に、今トランプ米国大統領が、就任以来事あるごとに持ち出すのが日米安保破棄という問題です。米国がいざという時に、日本が守らない同盟は不平等だというわけです。米国大統領は1973年に制定された「戦争権限法」によって議会の許可を得ないと戦争は大統領といえども勝手にやるわけには行かなくなっています。ただし、条約は締結時には議会の了承が必要ですが、破棄については、大統領の権限で出来るので、注目を浴びています。

これに関して、日本が米軍基地を提供していることや〝思いやり予算〟などの経済負担を口にするだけでは持たない時が来るとの見方もあり、トランプ大統領の提案を真剣に考えるべしとの主張もあります。これは巨大な財政負担を伴うだけに、根底的に日本の在りようが問われる選択です。もちろんこれは日本の真の独立とは何かという問題と絡み、簡単には答えが出せない課題です。

やがて米国と中国とどっちを同盟国として選ぶのか、日本が迫られる時が来るとの見方もあり、他人事ではありません。しかも、米国は民主主義国家ですから、曲がりなりにも自主性を重んじた同盟関係で収まってきましたが、共産中国の場合は、周辺国を属国化してくる手法が露骨なだけに、事は極めて重大です。今は21世紀に入って20年。やがて日本が戦争に負けて100年が経ちますが、その頃には真の意味での独立を勝ち取るものと、私などは堅い決意と共に未来予測をしてきました。そのためには、地球民族主義の旗印のもとに、国連中心の国際政治を培うというのが公明党の考え方ですが、それと真っ向から対立する動きが起きてきているのが今の世界です。

こうしたことを真剣に考えていく時があっていいのではないか、との金光さんの講演での問いかけが深い意味を持って響いてきます。(2019-7-16)

 

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