Monthly Archives: 1月 2021

九仞の功を一簣にかく後輩の失態に思うこと

コロナ禍の只中にあって、自民党と公明党の中堅幹部二人がそれぞれ銀座の高級クラブに深夜まで入り浸っていたことが26日に発覚しました。由々しきこととだと、厳しいご批判をいただいています。遠山清彦さんがその場所を訪れたのは22日金曜の夜といいます。衆議院予算委員会で質問に立つ(25日お昼前後)ので、テレビを見て欲しいと、彼から連絡が私のところに入ったのは22日早朝。察するに、質問の準備も終えて気分も爽やかに、その場所に誘われて行ったのでしょう。翌日、翌々日は土日ですから、小選挙区回りをしたはず。3現職が一議席を争う大激戦が予想される選挙区だけに応援する側もされる側も必死の戦いの最中です▲この失態について、山口代表が党の会合で厳しく本人を叱責したと報告し、国民の皆さんに深いお詫びの挨拶をされました。新聞報道で見る限り、自民党の議員の派閥の領袖である麻生太郎財務相のお詫びの挨拶より遥かに気合の入ったものでした。麻生氏は「関係者にご迷惑をおかけした。深くお詫び申し上げる」(毎日新聞29日付5面)と述べたとありますが、この場合の関係者とは誰を指すのか。また、その人たちへの迷惑に対してだけお詫びするのか、と思ってしまいます。この手の失態のケースで、一般的に、迷惑をかけたことに申し訳ないとお詫びするというパターンには違和感を持ちます。特定の関係者を意識しているのであって、それ以外の人には詫びていないように聞こえるからです。こういう時は「恥ずべきことをしてしまった」「恥ずかしい」と言って欲しいものです▲さて、遠山さんは、こういう場所にいつも行ってるのだろうかとの疑問が起きます。〝コロナ禍の厳戒令〟にあってこういうところに行くということは、恐らく普段からも行っているに違いないと思わざるをえません。ここで、銀座の高級クラブがダメで、場末の居酒屋だったらよかったのに、などというつもりはないのですが、公明党の議員も変わったなあと思うのです。先年、私の元の職場の仲間で参議院議員だった後輩がやはりこうした高級クラブに出入りした挙句、口にすることさえ憚れる恥ずべき行為をしたことが発覚して、議員辞職をしたことを思い出してしまいます。遠山さんについてはおよそそんなことはないと確信していますが、ついこれまでの行動に思いを馳せてしまうのです▲私は彼のことを強く推奨してきました。卓越した英語力を始め、課題の分析、調整力、そしてプレゼン力、何をとっても一級です。沖縄の離島に訪れた時に、彼を深く強く慕う人々に随所で出会いました。本当に熱い思いで地域の隅々まで繋がりを持ってることに驚きました。欠点は唯一、自己宣伝力が強すぎることかもしれません。現職時代に私は直接口うるさく注意してきました。本人もうるさく思っていたに違いありません。自信過剰なところが鼻につかぬと言えば嘘になるでしょう。25日の予算委員会でも、随所に言わずもがなの「ありがとうございます。いい答弁をいただきました」と述べていました。自分でそう言わずとも、評価してくれる人に任せればいいのに、と思ったものです。与党質問の典型だと危機意識を感じて、この欄の前号に書きました。あえて名前は伏せましたが。今度のことは、九仞の功を一簣にかく側面がありますが、いい薬にして這い上がって欲しいものです。公明党を支援してくれる無辜の民の思いを裏切ってしまいました。これを取り返す圧倒的な闘いに期待しています。(2021-1-29)

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コロナ禍の中での国会論戦から何が見えるか

ようやく国会での質疑が始まっています。先週の衆参本会議から今週の衆議院予算委員会での補正予算審議へと舞台は移りました。菅首相の喉、咳をめぐっての懸念は、週刊誌報道で知りましたが、テレビを見て聞いている限り、益々疑問が高まります。ご本人は野党委員から問われて、大丈夫だと言っていたものの、かすれた声を聞くにつけ疑念は残るのです。また、棒読みやら、答弁を差し控えるとの発言が110回を超えて、安倍前首相の虚偽答弁に迫る多さというのも気になります。コロナ禍という未曾有の国家的危機の中だからこそ、政府も与野党議員も健康管理に気をつけて、しっかり対応して欲しいものです▲閉会中審査で、議員運営委員会でのやりとりを先日テレビで見聞しました。首相欠席で衆参午前と午後に分けて、西村康稔経産相が答弁に立っていたのですが、およそ衆議院の方は追及に迫力がなかったのが気になりました。とくに質問者に枝野幸男立憲民主党党首がいながら、なんともしまらなかったのです。他党は中堅議員ばかりなので、余計に惨めに見えました。そこへいくと、参議院は自民党の質問者は医師出身らしく切れ味鋭い内容でしたし、立憲民主党の女性議員は極めて聞き応えがある追及質問でした。我が公明党の質問者は僅か5分という質疑時間が可哀想でしたが、精一杯やっていたのが印象に残りました▲この国会質疑における〝参高衆低〟という評価視点は、私の勝手な見立てですが、あながち荒唐無稽ではないのではと、思い込んでいます。それは一にも二にも衆議院への対抗意識がなせるものだと思います。最近は少しなりを潜めていますが、自民党のN氏はおよそ与党議員とは思えぬくらいの迫力ある追及型の質問で、しばしば驚かせられます。また、先日の本会議質問でも地方議員出身の自民党議員が独自の切り口で質問をしていましたが、それなりの努力を伺わせる背景を実感しました。参議院の方が公明党の山口那津男代表始め各党とも論客揃いと思われます▲衆議院を見ていると、野党第一党の立憲民主党に所属するベテランたちが最近は音無しの構えのように見えるのは不思議です。というのも、往時の役者たちが自民党に鞍替えしたり、希望の党から国民民主党へと移動していることと関係しているのかもしれません。一言でいうと、衆議院の野党が元気がないのです。その分、公明党が頑張ればいいのですが、残念ながら、ピリッとしない寄り添い型の与党質問ばかりに見えます。政府答弁にいちいち「ありがとうございます。いいお答えいただきました」などという必要などないのに、いう議員が散見されるのは聞き辛いといえましょう。第一日目の質問者はこれまで切れ味鋭い質問をする後輩で高く評価してきましたが、今日は与党的過ぎて失望を禁じえませんでした。河野太郎行革担当相のワクチンをめぐる発言問題など、格好の追及材料なのに、逆に「運び屋」だとか、「突破力」云々と持ち上げるだけ。聞いている有権者は敏感です。公明党の態度に手加減、匙加減はないのかどうか。与党であっても言うべきは言うとの姿勢を貫いて欲しいものです。(2021-1-25)

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心に残った発言を探すー新年各紙のコメントから(下)

松のうち(1日〜7日)の全国紙5紙を読んで、私の心に響く、興味深かった識者の発言を次に挙げてみます。私の独断ですが、なかなか面白いと思えるものを5つ選びました。ぜひ、それぞれの新聞を図書館ででも読んでいただければ、と思います。

●毎日新聞の連載『コロナで変わる世界』(5日付け)ー社会学者・大澤真幸さん「世界共和国の契機に」

コロナ禍は今後どう推移するか、とインタビュアーに聞かれて、大澤さんは、大要以下のように答えています。

【地球レベルで経済とコロナ対策がトレードオフ(相反関係)にあるとの3段階の認識を経て、コロナによって、社会の仕組みや生き方が問われているといえます。「人間とは何なのか」ということを含めた、政治と精神が一緒になった問題だと、そこで初めて気づくのです。21世紀を超えて、人類が繁栄出来ているとすれば、今から何世代か後には、「世界共和国」に向かう、コロナ禍がそのきっかけだったと思えるようにしなければならないでしょう。世界はひとたび、米国におけるトランプ政権を経験したことによって、米国中心に物事を考えるという習慣が消えました。トランプ政権はひどかったけど、そのおかげで世界は多元化する、それは「世界共和国」にとって、必要なプロセスだった、となるのが一番良いシナリオなのです。】

これは、いわゆる「世界連邦」の具現化とも言えます。また、創価学会の第二代会長の戸田城聖先生が掲げられた「地球民族主義」の理念とも共通するものだと言えましょう。楽観的に過ぎるとの批判は当然つきまといますが、むしろそうならない世界は滅びる、と見れば一気に現実味を帯びてきます。

●朝日新聞連載『日曜に想う』(3日付け)ー編集委員・曽我豪「60年ぶりの年 壁を突破できるか」

今年は60年ぶりの「辛丑」の年であることから、昭和36年(1961年)の出来事を、人物中心に曽我さんは振り返っています。取り上げられているのは、ケネデイ、池田勇人、ガガーリン、江田三郎、坂本九の5人(人間以外にベルリンの壁も)。このコラムで私が注目したのは、「公明政治連盟の発足」に触れていることです。「前年に社会党分裂で誕生した民社党に続き、社会的弱者層を引きつけて公明党が台頭し野党が多党化してゆく。その前身である公明政治連盟を創価学会が結成したのも同じ61年秋のことであった」と。

コラムの最後には「60年前の『主役』たちのその後を記」していますが、公明政治連盟を誕生させた創価学会の会長だった池田先生にはなぜか触れていません。これでは画竜点睛を欠くのではないでしょうか。その動きの主役だった同先生がご健在であることに触れて欲しかったと思います。

●日本経済新聞連載『核心』(4日付け)ー論説フェロー・芹川洋一「2021年から始まる日本」

芹川さんは、日本の近現代史においてある種の「循環」が存在することを取り上げています。代表的なものとして「15年周期説」や「25年単位説」に触れています。前者では、1931-45年→軍国主義 46-60年→戦後民主主義 61-75年→高度成長 76-90年→低成長 91-05年→経済停滞 06-20年→再生模索といった具合です。一方、後者については、1920-45年→経済恐慌と戦争 1945-70年→復興と成長 1970-95年→豊かさと安定 1995年-20年→衰退と不安 としています。これらを「新しい時代はやってくるか」とのタイトルで一覧表にしており、なるほどと思わせます。じっくり眺めてみてください。いかがでしょうか。

実は私はかねてから「40年周期説」を支持してきました。1865-1905→ 軍国主義の台頭 1905-1945→軍国主義崩壊 1945-1985→ 戦後民主主義と経済成長 1985-2025→経済破綻から少子高齢化社会 という仕分けです。こっちの方が明治維新から今に至るまで、スパンも長く、面白いと思うのですが、どうでしょうか?

●産経新聞連載『宮家邦彦のWorld Watch』(7日付け)ー内閣官房参与・宮家邦彦「2021年に起きないこと」

宮家さんは今年、「何が起きるか」ではなく、「何が起きないか」を予想するとして、❶中国は米国に屈しない❷露は諜報戦争をやめない❸北朝鮮は暴発しない❹東南アジアは結束しない❺印は対米同盟を組まない❻中東は安定しない❼EUは分裂しない❽トランプは引退しないを挙げています。「ないない」尽くしは面白いのですが、読みようによっては、この8つそのものが起きないこととして、あがっているように見えます。慌てて読むのは危ないです。尤も、それぞれの逆、つまり、中国は米国に屈する、露は諜報戦争をやめる、北朝鮮は暴発する‥‥といったことが起これば、耳目を集めるのですが。結局は何も変わらないということを言っているように思われます。

●読売新聞『語る』連載2(4日付け)ー元自民党総裁・谷垣禎一「党内で疑似政権交代」

自民党が野党に転落した時に、同党総裁だった谷垣さんは、10年は野党暮らしが続くと覚悟したとのこと。三年ほどで復帰するとは思わなかったと言います。で、野党がどこにいるのかわからなくなって、大平元首相の言った「楕円の理論」ー中心は一つではいけないーが大事だと思うようになったと言います。この理論でいけば、次は宏池会(岸田派)や竹下派が頑張らないといけないというわけです。

自民党風に言えばそういうことなのでしょう。ただ、この勢力に期待できるかどうか。私に言わせると、公明党こそ楕円のもう一つの中心に座れば面白いのに、と思います。昔風に言うなら、公明党は野党に戻って、他野党を束ねよということなんでしょうが、もはやそれは想定しがたい。ならば、と思うのですが、それもまた難しい。所詮叶わぬ初夢でしょうか。(2021-1-12)

 

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鬱陶しい2021年の幕開けに光明を探すー各紙の報道記事から(上)

新たな年も早いもので、七草がゆも終わり、鏡開きとなります。例年なら新年互礼会などに顔を出す頃ですが、今年はそうはいきません。新型コロナ禍による緊急事態宣言が首都圏に続き、大阪、兵庫、京都の近畿圏にも及び、巣篭もりの鬱陶しい幕開けとなりました。新年の元旦号から7日付けまでの、全国紙5紙の記事を追って見ました。

元旦号のトップ記事は各紙の報道の基本的姿勢が伺えて面白いことはいうまでもありません。コロナ禍中なので、これ一色かと思いきや、コロナ禍にまつわるものを取り上げたのは、『毎日』だけでした。「中国『闇』ワクチン日本へ」との見出しで、未承認のワクチンが中国から持ち込まれ、企業経営者ら一部の富裕層の18人が接種を受けていることが分かったというものです。昨年からの連載「コロナで変わる世界」の第二部のはじまり「パンデミックと社会」です。

中国がらみは、『読売』が「中国『千人計画』に日本人」との見出しで、取り上げました。彼の国が海外から優秀な研究者を集める人材招致プロジェクト(2008年から実施)に、少なくとも44人の研究者が関与していたというのです。日本政府から多額の研究費助成を受け取った後に、中国軍に近い大学で教えていたケースもあり、日本政府は情報流出を恐れて規制強化をする方針を固めたと報じています。

一方、『産経』は、新年からの連載で『自由 強権ー21世紀の分岐点』をスタートさせ、その1回目として、「中国型の権威主義、南太平洋で猛威」と題し、「民主主義が消えていく」実態を描き出しています。「コロナ禍で加速した世界の軋みに対峙して、21世紀の形を決める分岐点」だとの現状認識のもと、露骨さを増す中国の横暴な振る舞いを追おうという企画でしょう。「米国一強」が揺らぐインド太平洋で、日本は自ら先頭にたち、自由と民主主義を守る行動と覚悟が問われていると、煽っているのです。

国内政治に目を向けたのは『朝日』だけです。自民党の衆議院議員で、農水相だった吉川貴盛氏が、既に明らかになっている計500万円を受領した疑いのほかに、1300万円を受け取っている可能性が高いことを報じています。これは、鶏卵生産・販売大手の「アキタフーズ」の前代表が東京地検特捜部の任意聴取に際して供述したもの。特捜部は合計1800万円を2015年から5年間に14回に渡って吉川氏が受け取ったと見ています。農水相就任前からというわけです。

経済がらみは例年通り『日経』だけです。「第4の革命 カーボンゼロ」と題して、世界が脱炭素の主役として競い始めたことを、連載で明らかにしようとしています。日本も2050年までに、二酸化炭素(Co2)など温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると宣言していることは周知の通り。日米欧中で8500兆円もが動く競争を追うことになります。この中で注目されるのは、排出削減の国外出願特許で、日本は約15000件で、2位の米国の2倍近くもあること。この10年間連続の首位にあることを「日本なお先行」と誇らしげです。

こうみてきますと、各紙の特徴とともに、今の日本社会における課題が浮き彫りになってきます。キーワードは、「恥を知る」ことだと、私は見ています。このあと、正月一週間の新聞記事から、注目される内容のものを追ってみます。(2021-1-9  以下つづく)

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