公明党が自民党との連立政権離脱を表明(2025-10-10)して半年余り、かねて懸念されていた事態が起きた。日本が平和国家であることの証しの一つとして長く自制してきた「武器輸出」を認めることにしたのだ。「防衛装備移転」などと〝小賢しいすり替え風言い回し〟をしたあげく、非戦闘目的に限定する「5類型」を撤廃し、殺傷兵器を輸出する方向に大きく舵を切った。「死の商人」国家への本格的仲間入りだといって過言ではなかろう。かつての宮澤喜一首相の「武器を売るほど日本は落ちぶれていない」との〝痩せ我慢的名言〟を高市首相は「時代が変わった」との一言で誤魔化してみせた◆時代がどう変わったというのか。木原稔官房長官は「安全保障環境の変化が加速度的に生じる中、日本の安全を確保し、地域と国際社会の平和と安定に一層寄与するものだ」という。この発言、前提状況を述べた前半と結果の判断を示す後半が噛み合わない。変化が起きているから、武器を輸出することに転換することがなぜ「平和と安定に一層寄与する」のか。むしろ、「戦争拡大と不安定に寄与」するだけだろう。さらに「戦後80年以上にわたり築いてきた平和国家としての基本理念を堅持する」というに至っては、自己撞着も極まれりという他ない。「平和国家としての歩みを変えることは甚だ心苦しいがやむを得ない」と正直にいうのが〝誠意ある発言〟ではないか◆武器輸出の解禁で、これまで防衛省の発注への対応だけで競争力が働かなかった防衛産業が一気に活気を呈することになり、世界各地の戦争、紛争をめぐる国家の意思決定が軍事需要の浮沈をもたらすことになる。どこに兵器を輸出するのかをめぐっての〝事前の査定〟など一切なく、国会議員への「事後通知だけ」とは、歯止めなきに等しい。ともあれ最大の問題は日本という国家のイメージがこれまでと違って〝武器で儲ける血塗られた国家〟に見えてしまうことに違いない。トランプ米大統領に抱きつく高市首相のあの〝恥ずべき姿態〟と相俟って、日本国の品格そのものが問われてこよう。次に来るのは「憲法改正」への動きだ。既に衆参両院の憲法審査会での前のめりの対応が取り沙汰されている。自民党は4項目の改憲への取り組みを挙げてきているが、これを突破口にして全面改正への流れを作りたいものと思われる◆現代世界がロシアのウクライナ侵攻に続いて、米国がイスラエルと組んでのイラン攻撃で国際法を無視した方向に強く傾斜している。一気に抑え込めるとイランを甘く見たトランプ氏の采配は支離滅裂で破綻寸前の状況が続く。イランのホムルズ海峡での水際の踏ん張りはあたかも密林におけるベトナムのゲリラ戦法を想起させる。日本はいまこそ、欧州各国と連携して平和構築に向けて積極攻勢をかける必要がある。なのに、真逆に紛争を助長するかのごとき方針転換は重大な禍根を残すばかりである。平和の党を自負してきた公明党と新党中道は、時代を画する高市自民党の暴挙に反対する党声明の一太刀すら浴びせていない。一体どうしたことなのか。(2026-4-25)