通常国会が閉幕し、来月4日の参議院選挙の公示まで1週間足らずとなりました。この選挙では「政治の安定を!」が与党側から問いかけられています。それは野党主導の政治が間違いなく「政治の混乱」を招くに違いないことから当然と思われます。3年前の参院選には存在した民主党が自分たちのしでかした大失政を顧みず、今度は立憲民主党と看板を変えただけで、ほぼ同じ陣容のもとに今度の戦いに挑もうとしています。私は、与党に対立する健全な野党の存在は民主主義の政治にあって当然必要だと思います。しかし、立憲民主党主軸の今の野党共闘体制では「混乱の再生産」だけで、到底賛同出来ません▼では、我々は「政治の安定」だけ叫ぶことでいいのでしょうか。選挙戦略上の大方針としてはそれでいいと思いますが、同時に庶民大衆にはそれだけでは足りないと思います。私たちが「高橋みつお」候補を頼む闘いをしていく中で、相手と話し込むと必ず出てくるのは、安倍首相の一強政治に対する不満と、これからの私たちの暮らしに対する不安です。それに対して「政治の安定」を掲げることだけでは、今の政治の全肯定になってしまい、不満も不安も解消されないのです。もとより政治は「よりマシ選択」であって、「完全無欠な選択」はありません。今の「野党連合」よりも、自公政権の方が「よりマシ」であることは大方の人はわかってきています。問題はそこだけに終わらずに、次にこれからの政治が、経済が、社会がどうあるかを訴えていくことの重要性です▼私は「経済の安定」に加えて「社会の安定」を皆が待望していると思います。確かに安倍政権は近過去のどの政権よりも、経済をよりマシに運営してくれています。色々言い分はあっても、です。ただ、その一方で社会全体における貧富の差がそこはかとなく広がってきていることは認めざるをえません。(蛇足ですが、だから野党の方がいいとはならないことは強調しておきます)そのため、消費税上げへの不安や老後の生活にいくらかかるかといった問題に敏感にならざるをえないのです。その時に、野党の主張を頭ごなしに否定するだけでは十分ではありません。野党側が財政、金融、消費の全体像を見据えず、目先だけの問題にとらわれて、不安を煽ってることに対し、きめ細かく批判を加えることが大切です。老後の生活は一般論として豊かであるのがいいに決まっていますが、問題は千差万別であり、人の生き方とも関わる複雑な問題なのです。問題をすり替え、年金問題に不安の矛先を持って来ようとする野党の戦略の狡猾さを見定めることが重要でしょう▼そこで、強調したいのが政権与党としての公明党の役割です。今年は公明党が結成されて55年になります。早いものです。大衆福祉を、平和を掲げ、個人の幸せと社会の繁栄が一致する社会を目指しての歳月でした。今私たちの生活全般は、確かに55年前よりも、全体的にも個人的にも豊かになってきてはいます。しかし、同時に富めるものはますます富み、貧しいものはより貧しくなってきている状況は否定できません。また、社会福祉の面でもかつてはあまり浮上していなかった、心のやまい(引きこもりや小児虐待に見るような)に悩む人々がぐっと増えて来ているのです。こうしたことも含めて 新たな社会不安にどう対応するか。これこそ公明党の真価が問われるテーマだと思います。55年前の結党当時と本質的には全く同じ状況が我々の目の前に広がっているのです。〝今再び〟の公明党の本格的出番です。(2019-6-28)