「大阪都構想」敗退と、米大統領選の結末とーこれからへの影響

二度目の「大阪都構想」を問う住民投票が、約2万票の差を持って結末を迎えて数日が経ちました。選挙投票日直前に、私はその構図を「維新、公明」対「自民、共産」という、大阪をめぐる新旧の政党の枠組みによる争いと規定し、日本政治への影響少なからぬことを発信しました。前者が勝てば、つまり大阪都構想が実現すれば、当然ながら『維新』の中央政治に及ぼす影響も大きくなろうと見たのです。しかし、結果はノートと出ました。松井一郎大阪市長は任期を終えたのちの政界引退を表明、近く党代表も降りる方向を示唆しています。最初の住民投票の敗北で橋下徹氏、二度目は松井氏が引退をすることになり、もう三度目はないといいます。この躓きで『維新』はどうなるのか、大いに注目されるところです▲菅義偉首相誕生後の最初の国会での予算委論戦を観ました。率直な印象は立憲民主党の迫力の無さです。日本学術会議問題を主たるテーマにした4日の枝野幸男党首の質問も精彩を欠きましたし、元党首の岡田克也氏は、北朝鮮問題や核廃棄問題を取り上げたのですが、「老いたり」という他ない寒々とした内容でした。それに先立つ2日の衆議院の質問の江田憲司、今井雅人氏らから、5日の参議院の蓮舫氏に至るまで、次々と同じ問題を取り上げる質問戦略には首を傾げざるを得なかったのは(蓮舫氏は「一般社団法人問題」など、本来の〝予算審議〟に時間をもっと割くべきだった)、私だけでしょうか。私個人としては、辻元清美氏の変わらぬ歯切れのよさと、「学術会議」を取り上げなかった玉木雄一郎国民民主党代表に新鮮味を感じた次第です▲国民民主党と日本維新の会の接近が取り沙汰されていますが、これは日本政治における必然の流れのように思われます。小池百合子都知事や前原誠司氏らによる「希望の党」の騒ぎの際にも、感じたのですが、自民党ではないもう一つの保守政党の台頭を待望する底流は、日本社会にあって否定できない流れと思われます。こうした動きを、単なる数合わせとか、権力闘争お決まりの離合集散と切り捨ててしまうだけではならないと思います。公明党も口の悪い向きから「自民党山口派」などと揶揄されることがママありますが、〝本家中道主義の党〟としての矜持を持ちたいと強く思います。「学術会議」問題でも、納得できる説明を求める程度では弱すぎるという他ありません▲他方、米国の大統領選挙の決着が注視されています。日本時間の6日朝現在、民主党のバイデン氏が優勢と伝えられていますが、この選挙戦を見ていてつくづく米国社会の〝分断の深刻さ〟を感じます。「二大政党制」に憧れる向きが日本にもないわけではありません。つい数年前までは、「自民党対民主党」の構図が米国の「共和党対民主党」のそれに擬せられることが一般でした。今や悩める民主主義の実態に世界中が呆れ、脅威を抱いているといっても過言ではないといえましょう。米国にも第三の党があるとのこと。殆ど数量的には意味をなさないのでしょうが、このままの〝不毛の激突〟を見せられるより、もう一つの流れに期待をしたいと思います。日本にとって、この米国の事態は、〝宗主国の内乱〟とばかりに、対岸の火事視するだけではいけません。独立した「自主・自立国家」への今後を切り開くいいチャンスと捉えて、対応を急ぐ必要を痛切に感じます。(2020-11-6)

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