ファゴットやチェロ、オペラを聴いて涼む

一年で最も暑い日々がやってきています。二十四節気のちょうど半分にあたる十二節気は、その名もずばり大暑。うだるような暑さの中で、このところ様々な集まりに参加しました。一つ目は、サイバー京都研究所の開設にともなう記念のコンサートと記念パーティです。この研究所は、京都情報大学院大学と京都府が包括協定を結んでの連携のもと、けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)に作られたもの。この施設からICT分野の技術や経験を通じて、国際化の推進、人材育成や街づくりに貢献したい、としています。実はこの研究所の所長に就任したのが、私の中学、高校を通じての友人である木戸出正継氏です。彼は奈良先端科学技術大学の名誉教授で、この分野の第一人者のひとりです。京都大学出身で大手家電の研究所研究員を経て、けいはんな学術研究都市にある同大にやってきた学者です。私はこの分野は殆ど明るくないのですが、彼と会ってるとなんだか難しいコンピューターのことも分かるような錯覚にとらわれるのは不思議です▼その彼が考えたわけではないと思いますが、出発にあたってのコンサート「ファゴットとチェロの調べ」には感動しました。ドイツを中心に世界各地で活躍され、日本の「3・11後」に際しても度々激励に駆けつけてきてくれたエーデルマン夫妻の演奏を聴けるとは。この際、京都へ行くなら聴く方も夫婦で、と思いましたが、「暑い時季に、暑い京都には、とても」という家人を説得できず、結局”おひとり様”で、という羽目になりました。それでも久方ぶりに生で聴くクラシックの演奏はこころ和むものがあり、一陣の風以上の涼を味わうことが出来たのは収穫でした。加えて、パーティでは彼の京大時代の友人たちと一緒に、和気あいあいの時間を過ごせ、幸せな気分に浸れました。近くけいはんな学園都市にお邪魔して色々と勉強をするつもりにもなりました▼もう一つは、神戸に住む年配の方々で構成される「人生悠々倶楽部」の催しに参加したことです。これは、元NHKの記者で私の高校の大先輩である今村隆さんが主宰するもので、様々な方をゲストに招き、講演を聴いたり、演奏を楽しんだりしているとのことです。今回は、78歳のオペラ歌手田中公道さんのテノールの歌声を聴く会でした。恥ずかしながらこれまで田中さんの存在を知らずにいた私は、彼の迫力あふれる凄まじいまでの声にしびれました。改めて感じたのは、オペラの歌というのは求愛、失恋など殆どすべてが男女の愛を表現したものばかり。歌詞がわかってるわけではなく、解説を聴いてのことだけなのですが、少々辟易してしまうのは歳の故でしょうか。わたくし的には日本の唱歌の方がこころにストンと落ちました▼演奏がひとしきり終わって、アンコールが繰り返されました。今村さんとは旧知のようで、あれこれと注文されるのにはこちらがハラハラしましたが、まったく意に介さず次々と美声を張り上げてサービスしてくれたのには感心しました。なかでも最後に歌ってくれた歌は、「いつかは私にも死ぬ時がくるだろう」との出だしで始まるもので、高齢の歌手の声によるものだけに、大いにこころに染み込みました。終演後にも記念撮影に応じてくれたり、様々な質問にも答えてくれました。私は、健康を維持するための努力などについて訊きましたが、「数多の薬のお世話になっている」といわれるので、つい「60過ぎたら薬は飲まない」という友人の医者の話をしてしまいました。してしまってから、余分なことだったと後悔しましたが、遅かったようです。「大丈夫です。十分気をつけながらお医者さんと相談の上ですから」との返事が返ってきました。夜寝るときは必ず首にタオルを巻き、冷やさないようにしているとか、あれこれとお話しいただきました。ピアニストの奥様がずっと演奏も一緒だということなども、この人の活躍の秘訣なのだろうと思ったものです。ともあれ、暑いさなかに大いに気分がさわやかになったひと時でした。(2015・7・30)

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