病院に必要なもう一つの窓口とは?

代議士を辞めてふつうの市民に戻ってから約3年が経ちます。現役の頃と何が違うかといえば、最も大きいのは予算委員会を始めとする所属した委員会で、政府に対して質問をするという機会がなくなった事です。20年間、寝ても覚めてもというと少々オーバーですが、政治課題のうち何を取り上げて、それについてどう問題を指摘して発言するかが大きな関心事であり、重要な仕事でした。それがすぱっとなくなったことは大いなる解放感があります。勿論、寂寥感もあり、時々夢のなかでうなされていますが(笑い)。で、それを除くと、あまり変わらない仕事が今も続いているわけです。それは、世の中における仕組みを良く変えたい、もっと住みやすく生きやすい社会に変えて行きたいと考える人たちに対するお手伝いです。一つの例を御紹介しましょう▼先日、姫路市に住む社会保険労務士の湯谷達秀さんから相談を持ち掛けられました。彼は元兵庫県社会保険労務士会政治連盟のトップで、今は社労士会の協同組合の理事長をされています。相談の中身は、医療機関で患者さんたちが治療を受ける際に生じる「御困りごと」の解決に貢献したいということでした。勿論、医療上のことではありません。例えば、心身に障害をお持ちの方は、その障害の程度に応じて国の社会保障制度を活用することで、経済的な救済を受けることができます。それを知らないために、権利を行使しないままうやむやに終わっていることが多いのです。湯谷さんたちは、そうした方々に社労士の持ってる知識を活用して、あきらめないで立ち上がろうと励ましたいというのです▼年金問題をめぐる様々な課題が今もなお日本社会を揺るがしていますが、私が厚生労働省の副大臣をしていたころに、町なかの年金相談窓口として社労士をもっと活用すべきだとの声が高まりました。今なお十分ではありませんが、かなり前進はしてきているようです。受給できるはずの障害年金を請求さえしていないひとは全国で約60万人もいるといいます。私は、こういう人たちを助けることは大変に大事なことだと思い、直ちにサポートすることにいたしました。すでに横浜市では、7月に市民病院内のがん相談市民センターにがん患者とその家族を対象とした「就労支援相談窓口」を開設しました。がんに罹患しても働き続けたいとの希望を持つひとの相談に、社労士が対応しているといいます。姫路市の場合は市民病院がありません。まずは、大きな民間の病院に対してそういう窓口をおくべく働きかけよう、ということで意見が一致して動き出しました▼がんを患っていても、脳梗塞を発症した後であっても、治療を続けながらも働き続けたいというひとたちはいます。そのひとたちに対して社労士が専門知識を活用して、適切なアドバイスをすることは極めて重要です。さて、それを病院、医療機関がどう受け止めるでしょうか。ケアマネージャーやケースワーカーがいて、すでに対応しているから必要ないと言われるでしょうか。湯谷さんは「そういう存在があることはわかっています。しかし、社会保障制度について彼らが熟知しているとはいいがたく、我々社労士が補完することで、多角的な視点に立ったお手伝いができるのです」と自信満々に言います。この仕事の応援はやりがいがありそうです。連携をとりながらしっかりやろうと決意しているところです。(2015・9・4)

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