自民党小選挙区候補の演説会に参加し、この30年の政治を俯瞰する

姫路市の船場小での演説会(10・12)の冒頭にあいさつに立った連合自治会の幹部は、やおらタオルを広げて聴衆に見せた。そこには「祝就任 松本十郎防衛庁長官」と書かれてあった。松本十郎氏の長官就任は平成元年暮れのことだったかと記憶する。いきなり30年ほど前に引き戻された。平成2年(1990年)に私が初めて衆議院選挙の旧兵庫4区(中選挙区制)に立候補した直前のこと。戸井田三郎氏が初の厚生大臣になり、それに遅れまいとする松本氏が時の派閥の領袖や首相にねじ込んでその大臣の席を得た、と当時もっぱらの噂だった。河本敏夫元経企庁長官と併せ、自民党の3候補が大臣経験者の列に名を連ね、全くの新人候補である私をブロックする構えが明白となった。私がその後を継いだ新井彬之氏も、当時の社会党の候補だった後藤茂氏も含め、皆さん鬼籍入りしてしまったこともあり、今やそんな昔のことを覚えているひともごく少なかろう。しかし、私にとっては忘れようにも忘れられない。2年前に旧民主党を離党し、無所属を経てこのたび自民党の公認を得た十郎氏の息子・松本たけあき氏(元外相)の演説会に参加して、思いがけずに特別の感慨に浸る羽目になった▼中選挙区から小選挙区比例代表並立制の選挙制度になって約20年が経つ。その制度に様々な弊害が目立ってきてはいるが、その後の推移がもたらした政治的所産の是非は充分な検討を要する。元をただせば、中選挙区制は巨大政党・自民党内での熾烈な内輪の争いを防ぐ一方、穏健な二大政党制確立に導こうとする狙いがあった。長期にわたる自民党政権下の金権腐敗政治の根を断ち、一党独裁に終止符を打つことも目的とされた。今日までの流れで政治はどう変わったか。確かに自民党一党支配はなくなり、連立政権が常態になった。民主党政権が樹立した時には二大政党制が日本にも根付くかと思われた。しかし、その民主党政治は散々な結果をもたらした。今日のように、民進党に衣替えしたのちに、希望の党と立憲民主党、無所属などと三分裂する事態になろうとは、殆ど誰もが予測し得なかった。「安倍一強政治」とか言われるが、これは「権力批判」が生業であるメディアの本質がもたらすもので、ある程度は割引してみる必要があろう。確かに「森友・加計」問題に見られる首相自身の脇の甘さや傲岸さゆえの失政もあるが、一方で経済運営の包括的在り様や外交安全保障政策の堅実さなど評価できるものも少なくない。社会保障政策でも着実な前進は見られる。そうした実態の背景には、陰に陽に自民党政治を矯正してきた公明党の果たしてきた役割があるのではないか▶この日の演説会で、自民党に鞍替えをしたことをどういう風に松本氏が弁明をするかと注目していたが、「公認を頂いた」「これでやりたい仕事ができる」とさらりと言うにとどめていた。2年前の離党に際して、共産党との共闘を主張する岡田民主党にはついていけないという意味のことを口にしていた。今日の民進党の分裂騒ぎにあって「希望」との合流や立憲民主党の結党などを見るにつけ、その先見性を誇っていいものと思われる。かつて、公明党も新進党合流騒ぎがあった。衆議院サイドは合流し、参議院や地方議員は残留し、後に新進党が分裂した時に、公明党に戻らず小沢自由党に行く者もあった。こうしたことを思うにつけても、他党や他党に所属するひとたちの動きは同情こそすれ余計な批判をするつもりはない。大事なことは政党、政治家としての初心を忘れず、何のために政治を志したのかに立ち返ることだろう▼公明党は大衆のために政治を取り戻すということがその行動の原点にある。かつて自民党が経済的に恵まれた層の代表であることに固執し、共産、社会という左翼勢力がイデオロギーに偏重し、共に大衆から遊離していると見るしかなかった。それだからこそ公明党は立ち上がった。立党当初から20世紀の最後の辺りまでは、外からの自民党改革に執念を燃やした。この20年程は政権内部から、連立相手の自民党を内側から変える戦いに取り組んでいる。政権に入ることで、現実政治のプレイヤーとして働くことができ、庶民大衆の願望をたとえわずかではあっても手にすることができている。いくらきれいごとを言っても、何一つ具現化できぬ万年野党ではどうしようもない。また、巨大与党の欠陥部分について、観客席から幾ら詰ってみても詮無いことが多い。連立与党チーム内で、公明党は自民党の良きところを伸ばし、悪しきところを失くすといった役割がある。ただ、表面上を見ているだけで、大事なところを見落としてはならない。公明党の動きをじっと見るならその本質的行動に全くブレはない。どう動くことが庶民大衆の利益になるかが、どこまでも主たる関心事だと確信する。政治はあるべき理想に向けて、相対的によりましな選択を積み重ねていくしかないのである。(2017・10・14)

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