地域おこし、自分起こしは「観光」からー徳島県での私の講演要旨(上)

明後日21日に徳島市内で高校の先生たちを前に(昭和30年度「商業教育研究大会)」)、講演することになりました。ここではその内容について、予め考えていることを公表します。

私は衆議院議員を20年ほどしていましたが、5年前に引退。今は「一般社団法人 瀬戸内海島めぐり協会」の役員をしています。この会は万葉集学者の中西進先生を代表に、冒険家の堀江謙一さんらを副代表にした、船で日本の原風景である瀬戸内海をぐるっと回る観光を推進することを狙いにしています。当面は、瀬戸内海の東の玄関に位置する淡路島へのインバウンドを目標に、その仕事を推進する観光人材の育成に取り組もうとしています。先ほど締結された徳島商業と神戸山手大学との教育連携の延長線上に、観光現場としての瀬戸内海、淡路島があり、その実践フィールドの受け皿に当協会がお役に立ちたいと考えているわけです。私は、現役時代には主に外交や防衛の分野にばかり熱心で、あまり内政、ましてや観光に関心を持ちませんでした。国政をやるなら「外交、防衛」しかない、それ以外は地方議会でも出来るとの勝手な思い込みからでした。しかし、その私が在籍した1995年から2014年は、ちょうど「失われた20年」と言われる時期とダブります。その間に長期デフレで経済は低迷。東京一極集中のおかげで、全国の地方都市は消滅の危機に瀕するようになってしまいました。人口減、少子高齢化の流れは津波のように押し寄せています。その事態を打開するには、どうすればいいか。悩んだ挙句に「観光」と向き合うしかないとの結論に行き当たりました。これからその辺りに至った経緯を語らせていただきます■さて、明治維新から150年の今の日本の立ち位置はどういうものでしょうか。改めて過去を振り返り、これから迎える新たな時代への展望を考えてみたいと思います。世に「日本社会40年転換説」なるものがあります。この150年を捉え直すにはとても便利な枠組みなので、当てはめて見ましょう。まず1865年前後から1905年前後までの40年間は、富国強兵の名の下に懸命の軍事国家作りでした。日清、日露戦争の勝利に酔いしれたその後の40年は一気に下降線を辿った結果、1945年には一国滅亡の危機に瀕してしまいました。そこから今度は、経済至上主義に基本姿勢を改めて40年。1985年頃にはバブル経済の頂点を極めてしまいました。富国強兵ならぬ富国強経の結果です。そして、今はやはりそれから40年後の2025年頃の高齢化のどん底目指して真っしぐら。あと7年ほどです。先ほど述べた「失われた20年」が30年から40年へと伸びる勢いで、社会の奥深いところで漂う不安は隠せません■そんな大状況の下で、最近こんな話を聞きました。ある大学の名誉教授がこういうのです。自分の周りにいる文科系の大学卒業者やその親たちの嘆きや愚痴は只ならざるものがある。大学を出ても自分にマッチした仕事に出くわさないし、大学で学んだことは何も役に立たない、と。皆が深い悩みにある、とも。その大学教授はそういった状況を述べた上で、自分の息子さんを5年も浪人させて歯科大に入れたというのです。これでなんとか食っていける、と。先日来、文科省の高級官僚が自分の息子を医科大に不正入学させたことが話題になりましたが、ことほど左様にただ大学を出ても世の中で役立たないとの不安感が社会全体を覆っていると言えましょう。極端な例を挙げましたが、世のエスタブリッシュメントと言われる人たちのこの異常な感性こそ時代の空気の象徴と言えましょう。人口減社会という世界で未曾有の厳しい事態を目前にして、社会全体をどういう方向に舵取りすればいいのか。また個人個人はどう生きていけばいいのかが今ほど問われているときはないといえます■私は人口減の時代にあっては、富国強兵、富国強経の次には、富国強芸というように、文化・芸術にみんなが価値を認め、ひとり一人が自分の人間性、活力を磨くことに熱心な時代が来ると、いや来させないといけないと思っています。国全体の取り組みとしては、世界中の観光客を日本各地に呼びあつめる「観光の産業化」ということになります。デイビッド・アトキンソンという英国人でありながら日本の各種国宝や重要文化財の修復を仕事にしている小西美術工藝の社長がいます。『新・観光立国論』って本を書いた人です。この人がこの間淡路島のフォーラムで、観光こそこれから人口減社会に向かう日本を浮上させる鍵だとのインパクト強い講演をしていました。観光とは、自分たちの住む地域を再発見し、その町の価値に誇りを持つことから始まります。自分たちの国を知ってるようで知らない、わかってるようでわかっていない日本人。この自覚から全てが始まるのではないかと思うに至りました。(2018-8-19)

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