大衆的人気博した気骨ある保守政治家の終焉

「こんなかに公明党の人はおるか?俺のこと応援してくれんでもええで」ー12年前の選挙だったろうか。自公選挙協力で、お互いに支援をしようという申し合わせがあったのに、当の自民党の候補者が街頭演説で、公明党支援はいらない、と公言したのである。いささか驚き、慌てた。自民党所属の政治家は、普通は喉から手が出るほど欲しいはずの公明党票。それを断るという全国の自民党議員でも珍しいタイプだった。つまり、票欲しさに自身の節を曲げたくないとの強い意志が伺えた。鴻池祥肇参議院議員のことである▼この18日に神戸で葬儀があった。公明党の県代表として現役の頃に、幾たびかの交流があった懐かしいひとである。最も思い出深いのは、私が鴻池氏の応援演説で、彼と比較してこう述べた。神戸高(旧神戸一中)卒と長田高(旧神戸三中)卒。早稲田大卒と慶應義塾大卒。派手さと地味さ。垂直思考と水平思考。ことごとく相反するものを持つ二人だが一点だけ共通するものがある。それは何か。それは二人とも日本共産党が大嫌い、民主党なんかに負けたくない、この一点は二人に共通するのだ、と▼この時の演説は私の20年に及ぶ政治家生活で、秀逸のものと勝手に思っていた。ある時に、鴻池議員の部屋に行ったことがあり、あれこれと歓談した。その際に、彼曰く、君と俺との根本的違いは憲法観が違うことだよ、と諭すように言われたことを思い起こす。その時、私は面白おかしくその場しのぎの演説をするだけで悦に入っていた自分を恥じた。確かに、憲法9条を巡っては、鴻池氏と私の考え方は、改憲と加憲という風に大きく違った。自由闊達なもの言い中にも、自身の政治信条では一歩も譲らぬ気骨を持ったひとであった▼私の娘がかつて、一番好きな政治家として鴻池祥肇氏の名前を挙げた。その時には軽い嫉妬を抱いた。ご本人にいうと、「おう、俺は若いのから年増まで女に人気があるんや。キミ知らんかったんか」とご満悦だった。青年商工会議所のリーダーとして名を馳せた、政治家として酸いも甘いも嚼み分けた練達の士であった。糟糠の妻ならぬ、兄弟船の舎弟分を失って、麻生太郎元首相(現財務相)の落胆ぶりは想像するに余りある。(2019-1-19)

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