「安定か、不安定か」との究極の政権選択

衆参同日選挙があるかもしれないとの噂が飛び交う中、結局は衆議院解散はないままに国会は閉幕しました。最後の最後まで安倍首相はその機を窺っていたことは事実のようです。解散は首相の専権事項だとはいえ、庶民感覚からすれば党利党略が過ぎるそしりはまぬかれません。解散権を弄ぶ愚が冒されずに、正直ほっとしています。尤も消費税をめぐる動きについては分かりずらさが残ります。安倍首相は二年半ほど先延ばしにしましたが、財政再建の前途はますます混迷を極めるばかりだからです▼先日の共同通信社の世論調査結果(5月末)では、4月末と比較して政党支持率で公明党が大きく支持率を落とした(4・4➡2・5)のと対照的に、自民党は37・2から44・4へと大きく伸ばしました。これはどうしてでしょうか。最後の最後まで山口公明党代表が消費税上げを予定通りに実施することにこだわり、値上げを先延ばしにすることに反対したゆえだとの見方がもっぱらです。民主党政権の末期に自民、民主、公明の三党が苦労の末に合意したことなどは忘れられ、目先の利害に敏感な世論を反映したものと云えましょう。親しい新聞記者も、公明党首脳にもう少し柔軟さがあっても良かったとの感想を述べていました。世論調査に一喜一憂するのは愚かだと分かっていながら、相も変らぬ低空での上下飛行にはため息も出ようというものです▼4日に淡路島で行われた私が専務理事を務める一般社団法人「瀬戸内海島めぐり協会」主催の観光フォーラムに、二階自民党総務会長を招き講演をしてもらいました。彼は永年観光業界に君臨するドンです。終了後の懇談で突っ込んだ意見交換を少人数でやりました。一般有権者は消費税が上がらなくて良かったと純粋に喜んでいるとの見たてを述べると共に、選挙戦略上は消費税問題は深入りしない方が得策だとの考え方を示していました。確かにそういう側面はありますが、財政再建を見据えずに人気取りに走ることへの割り切れなさはやり切れません。同じ政権党でも、予定通りあげよという公明党より、先延ばしの決断をした安倍自民党の方が支持率を伸ばすというのは皮肉なものです。このあたりの政党のスタンス、選挙に向けての政策選択は極めて難しいと云わざるをえないのです▼今回の参議院選挙では、自民、公明の政権与党に対して、民進党、共産党などの野党連合が対峙するという構図が出来上がっています。安定した政治か、それとも不安定な野合政治かとの選択です。政権担当能力のなさを天下に示した民主党が党名を、台湾の政権党と同じ民進党に変えました。その民進党に共産党が手を差し伸べるという野党共闘が模索されています。共産党の本質は革命政党というところにあります。でなければとっくにこの党こそ名前を変えてるはずです。そうしないのは共産主義に律儀なゆえで、皮肉を込めて見上げたものだといいたいです。ということで、日本の民進党は共産・中国と一線を画す台湾の民進党の心意気こそまねて欲しいものです。「安定か、不安定か」ー単純過ぎる二分化には自戒を込めながら、分かり易い選挙の対立軸といえば結局はそうならざるを得ないのです。(2016・6・6)

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