【103】伝統的保守か現代的改革か?━━「皇室典範改正」をめぐる架空鼎談/7-20

 今国会の終盤で展開された「皇室典範改正」論議は、最重要課題なのに、早々と結論を出した感が否めません。ここでは親子3人による鼎談で問題点を明らかにしてみたいと思います。便宜上、父親が今回の法改正に賛成した立場、娘がそれに反対した立場で、母親がどちらにも決めかねている立場という風に設定しました。

⚫︎「歴史的伝統」を守ることと「男性優先」はイコールではない

母)今回の「皇室典範改正」は、皇位継承をめぐっては直接触れず、結婚後の女性皇族が皇室に残ることで負担を和らげる一方、養子縁組で皇族数を増やすという2点がポイントだった。数合わせに過ぎないと批判があるわね〜。

娘)古い考え方の保守政治家たちが21世紀の現在なのに、男系男子にしか皇位を継承できないようにする仕組みを温存しようとの意図が見え見えだわ。こんな「男尊女卑」の考えは捨てないと。お父さんもやっぱ昭和なんだね〜。

父)僕は男系男子が理想だけど、女性天皇であってもいいとの立場だね。過去の歴史で女性天皇は現に8人ほど存在したからね。だがその女性天皇のもとで男女を問わず生まれたお子を次の天皇にするという女系天皇は難しいな。

母)どうして?その理由はどこからくるの?

父)皇位継承は男系女系どちらでもいいとすると、筋が通らなくなるという危険性を孕むね。「男尊女卑」といった性別比較ではなく、歴史的伝統を優先させないと国の根本が混乱するってことかな。無原理ではね。男系男子が譲れない原則だと固執しているのではなく、それがこれまでの伝統だからって言うべきかな。

娘)それって耳障りがいいように聞こえるけど、結局は男性優位の日本社会を持続させたいってことじゃないの?

母)そうじゃなくて、お父さんが言うのは男系男子の筋を通す必要性ありってことじゃないの?でもそれにしては、皇族の養子縁組を増やすために旧宮家を復活させるという方法は苦しいわね。そんなことに応じる人いるかしら?

父)という問題は残るけれど、可能性を有した天皇候補を作っておかないと皇位継承が揺らぐということだろうな。

娘)そういう考え自体が古いのよ。もう伝統に拘らず、時の天皇の第一子を後継にすると決めた方が分かりやすいし天皇家自身も余計な苦しみを感じないですむわ。男を授からなくてはダメだというプレッシャーは残酷過ぎるよ。

⚫︎皇位継承を縛らないという政府の約束を監視せよ

母)それに関していうと、天皇、皇后はじめ皇室の生の意見も聞きたいってこともあるわ。当事者の意見を加味せずにこんな重要なことを決めていいのかって。それに今回は皇位継承問題は別だと言いながら、怪しい部分ないの?

娘)そうよ。本来は議論の対象ではなかったはずの皇位継承問題が、するっと、旧宮家出身の男系男子の子孫が皇位継承資格を持つと盛り込まれるって、絶対おかしい。立憲民主党なんかは騙し討ちって言ってる。これ正しいよ。

父)そこをまさに公明党の谷合正明参院会長が特別委員会で、政府、法制局にはっきり確認したと言ってるところだね。公明新聞の17日付に載ってる。要するに今回の改正は皇位継承制度に関する今後の議論を拘束しない、って。

娘)憲法第一条の定める「国民の総意」に基づいてできる限り幅広い合意のもとで進められるべきだって、谷合さんも言っているんだけど、現実的には政党によって考え方、態度は分かれているよ。首相や官房長官、法制局が将来の議論を縛らないと言ってること信用できる?伝統的保守を変えて現代的改革するのが中道的生き方ではないの?

母)確かにそこは重大ね。立憲民主党などは「総意から逸脱する」と強く反発しているわね。中道と公明と立憲民主党は同じ政党になろうと努力してしていると聞いているけど、この問題で、まとまらなかったのは残念だね。

父)そう。僕もそこはこだわりたいね。今回の改正の道筋を確認したことは大事だけど、従来から付則や付帯決議なるものの軽さは否めないからね。国会の意思を示す重いものとの認識を示したと言われても、俄かに納得し難い。

娘)谷合さんは「賛否の立場を超えて、引き続き議論を重ね、合意形成に努めていくべきだ」といってるけど、ここは合意形成を断じてやるって言って欲しいわ。いかにも与党崩れの野党めいた半端な言い方では頼りない。

父)きついね。でもそこは大事だね。まずは中道が公明と立憲民主との合意を形成するために汗をかかないと。僕は、皇室典範改正問題は、日本独自の伝統的な考え方を踏襲するか、それとも近代(現代)日本に相応しい斬新な考え方に立つかの重要な分岐点を意味すると考えている。国のかたちに関わる課題だから簡単には片付けられないね。

母)つまりこれで終わりではなく、これから始まるのね。時間をかけて大議論して国民的合意を目ざすべきだわね。日本の課題を三党が背負ってることをプラスイメージで捉えたいわ。(2026-7-20)

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