【123】《架空対論》BSとBIどっちがいい━━サービス提供と現金給付の狭間/10-26

 ベーシックインカム(BI)とベーシックサービス(BS)━━どちらが庶民大衆の生活を変えるために役立つか。公明党は去る10月21日に党本部にベーシックサービス検討本部を作って検討を開始することを決めました。実は、その直前に、兵庫県美方郡香美町に住む西井秀一さん(元公明党村岡町議会議員 68歳)が、課税型ベーシックサービスの政策提言を党本部の岡本三成代表と中野洋昌政調会長に、私(赤松正雄)を通じて提出していました。

 ここでは西井さんの友人Iさんと赤松の友人Sさんの2人が課税型BIとBS双方の立場で議論した「架空対論」を紹介します。

★BSと課税型BIの歴史的背景

I)西井さんは中山間地域で生まれ育ち獣医をしながら畜産農家をしたあと、町議会議員を経て今は農産物生産に携わっている。過疎地の人々がいかに苦しんでいるかについて悩んだ末に、全国民に一定の現金給付をするBIしかないとの結論に達し、財源も消費税に頼らず、全国民に一律12万円の現金給付(所得に応じて後に徴収する仕組み)をする政策を提言した。

S)彼の問題意識は都会に住む私も分かっているつもりだ。だけど、本来膨大な予算を必要とするBIでは政治の表舞台では敬遠されてきた歴史がある。財政学の権威の井手英策・慶大教授がBIの持つ難点を解決するべく医療、介護、教育などのサービスに限定して大衆生活の向上に向けた仕組みを取り入れようとしているのはとても興味深いよ。

I)そういった歴史も俺はそれなりに西井さんから聞いて知っとる。井手さんが旧民主党のある幹部の個人ブレーンから離れて数年前より、公明党の若手地方議員らとの勉強会などを通じて同党の中で広範囲な関心を集めるに至っているということも。今や公明党の中では誰も彼も井手さんの唱えるBS構想びいきで大変やと言うてる。それに比べて西井さんは孤軍奮闘のようや。でも彼は中々しぶといよ(笑)。

S)そうみたいだね。公明党もこの4-5年の間、若手議員を中心にあれこれ勉強を重ねてきた。ようやく党中央も重い腰を上げて、「検討本部」を立ち上げるにいたった。これじゃあ、いくら熱心なBI党の西井さんだってダメなんじゃない?

I)そう思う?ところがどっこい、そうじゃないんや。彼は「『未だ検討本部』やろ?『検討』の2文字がついてるやないか。怖いことあらへん」って強気や。最後は「課税型BIの良さに気づくから」と、息巻いとる(笑)。

★過疎地への配慮を求めて

S)ヘー、凄いね。100万人たりとも我行かんか。BIって財源の問題に加えて、日本の社会保障のかたちをどう作っていくのかという、まさに「国家論」そのものに関わってくる重大なテーマだね。公明党がBS導入を検討するっていう方針を決めたのは、今まで政党、政治家が逃げてきた問題について、初めて立ち向かおうとする気概を感じるよ。

I)うん。そういう根本的側面は確かに見逃せへん。課税型BIを導入すると、既存の年金制度や生活保護など様々な社会保障のどの部分をどう残していくのかが直ちに問題になってくる。西井さんはそういう大きな枠組みよりも、今困窮していて未来の展望も開けない中山間地域の人をどう救済するのかの関心が強いんや。

S)ザックリ言ってBIは現金給付、BSはサービス提供だから今そこで苦しんでる人たちへの対応と、急がば回れ的対処の違いに見える。公明党の岡本代表が昨日BSテレビ番組で「どのサービスを今より向上させてほしいかという国民の声に合わせてバランスのいいBSを実現させたいから財源の議論を」と言っていた。

I)当然のことや。「消費税下げ」ばかりが議論される傾向が強い日本の政治の流れの中で、井手先生は財政学者としてむしろ消費税をどんと上げ、財政改革を行う必要性を持論とされていたとの印象が強い。その辺りとの絡みや現行の社会保障のどこを残してどこを変えるかなど問題山積だ。そういう観点からいうと言うは易く行うは難しいな。

S)財政改革と庶民生活の向上の両立を一気にやるって大変だけど、いつまでもグズグズしておれない。それに挑戦しようという新生公明党の意気や良しって思う。溌剌とした岡本代表は従来のどの政党にも見られないタイプの政治家と思えるからぜひ困難な課題解決に頑張って欲しいと思う。

I)確かに。岡本さんには俺たちも期待している。そやけど医療、介護、教育というても、過疎地域には病院も施設も学校も満足にあらへん。サービス提供するというても、その恩恵に浴することができない地方をどうするか。真っ先に解決して欲しい。社会保障、財政改革といった根本的課題問題も生身の人間を見ながら対処せんと。岡本さんに兵庫の中山間地域にも来て、現場をしっかり見て欲しい。

S)課税型BIとBSの対立は結局二者択一じゃないよ。日本の大衆の生活向上に向けて、今まで日本の政治が放置してきた課題解決に向けて両方の立場が協力しないとね。

I)それにはまず、公明党のBS検討本部に西井さんが呼ばれないとアカンね(笑)。(2026-10-26)

 

 

 

 

 

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